栃木県 足利市:足利市長 和泉聡、東京カメラ部10選 浅岡省一、東京カメラ部運営「被写体としての足利市の可能性」|東京カメラ部2019写真展

2019年7月12日(金)~15日(月・祝)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2019写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選、コンテスト入賞者などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。

7月15日(月・祝)に行われた栃木県 足利市のトークショーでは、足利市長 和泉聡氏、東京カメラ部10選 浅岡省一氏にご登壇いただき、「被写体としての足利市の可能性」というテーマでお話しいただきました。

栃木県 足利市:足利市長 和泉聡、東京カメラ部10選 浅岡省一、東京カメラ部運営「被写体としての足利市の可能性」|東京カメラ部2019写真展

東京カメラ部運営 塚崎(司会)「本日はお集まりいただきありがとうございます。まずは足利市長より自己紹介をいただければと思います」

足利市長 和泉「栃木県足利市からお邪魔しています、市長の和泉と申します。市長になって6年になりまして、それ以前には長い間朝日新聞の記者をしておりました。記者を辞めて故郷に戻り、市長を務めさせていただいております。本日はよろしくお願いします」

塚崎「それでは、市長から足利市のご説明をいただきたいと思います」

和泉「東京都心から直線距離で80kmの場所にあります。電車で行く場合は東武スカイツリーラインを使用していただくと便利で、都心から1時間ちょっとです。車ですと東北自動車道を使用して、順調であればこちらも都心から1時間30分ほどで着きます。人口が約14万5,000人の都市で、元々は繊維業で栄えた街です。ぜひ一度お越しになってください」

栃木県 足利市:足利市長 和泉聡、東京カメラ部10選 浅岡省一、東京カメラ部運営「被写体としての足利市の可能性」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「東京カメラ部と足利市がどのように関わっているかというと、実は代表である私の本家が足利市にあります。今でも定期的にご挨拶に伺っていて、私は足利氏由来の武士の街、足利市に縁があることを誇りに思っていました。そうしたところ、様々なご縁で足利市のPRに携わらせていただけるようになりました。そして、今回、私どもの写真展に足利市長に登壇をいただき、とても光栄に感じています。」

和泉「足利の元々のいわれは、室町幕府を築いた足利氏の発祥の地だからなのです。大河ドラマや歴史の教科書でも皆さん足利尊氏はご存知かと思います。室町時代と言いますと、お茶やお花の大変豊かな室町文化を築いた時代でもあります。もう一つ、足利学校という史跡があります。実は日本語の『学校』という言葉が始まった場所で、日本遺産にもなっています。ちなみに足利氏の発祥の地となった場所は鑁阿寺というお寺で、鎌倉時代の建物です。こちらは国宝となっています。栃木県内で国宝を持っているのは日光市と足利市のみですので、非常に歴史と文化に恵まれた街になっています」

塚崎「鑁阿寺は実はお城なんですよね」

和泉「石垣などがないのでお城と言われると戸惑うかもしれませんが、日本百名城にも指定されています」

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塚崎「さすが武士の街ですよね。こういった足利の一年間を浅岡さんに撮影していただています。展示やプロモーションなどにも使われており、こういった取り組みを東京カメラ部ではご一緒させていただいています。それでは、足利市が取り組んでいる様々な内容をご紹介いただきたいと思います」

和泉「5年ほど前から『映像のまち』という取り組みをずっと続けています。様々な角度からこの取り組みはご説明できるのですが、一つは映画やドラマの撮影に来てもらうということ。もう一つは歴史を持った足利の街を感じさせる場所を切り取って街としてPRしていくということです」

塚崎「渋谷のスクランブル交差点ができるんですよね?」

和泉「最近多くのワイドショーで取り上げてもらったので、ご存知の方も多いかと思います。渋谷のスクランブル交差点の撮影用オープンセットを、今まさに足利市に作り始めました。映画やドラマでは撮影需要があるということで、ある映像美術会社を通じてお話をいただきました。足利の西の方、足利赤十字病院の隣の芝生広場の一部をお貸しして、そこにスクランブル交差点のセットを作り始めています。これも『映像のまち』の取り組みの一環としていい意味で舞い込んできたお話です」

塚崎「経済効果も大変なものがあると思います」

和泉「撮影で使ってもらうと、スタッフさんにお弁当を頼んでもらったり宿泊してもらったり、あるいはセットを組み上げるため地元の大工さんにお仕事が入ってきます。直接的な経済効果だけでも実績をあげているのですが、同時にお金に換算できないものもあります。去年話題になったテレビドラマ『今日から俺は!!』の8割は足利で撮影しました。『湯を沸かすほどの熱い愛』という映画も足利で唯一残っている銭湯で撮影が行われました。ロケ地に訪れてくれる若い方が今も沢山います。そして足利出身で東京や首都圏の大きな街に出ている若者たちが、ふるさとを誇りに思う一つの理由としてこの構想が大きな役割を担っていると思います」

栃木県 足利市:足利市長 和泉聡、東京カメラ部10選 浅岡省一、東京カメラ部運営「被写体としての足利市の可能性」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「浅岡さん、実際撮影で街を回ってみてどうでしたか?」

浅岡「いい意味で路地裏などには昭和の風情が残っているなと思いました。街を歩いていてカメラを離すタイミングがないくらい、あちらこちら撮りたくなる街並みでした」

塚崎「まるでタイムスリップをしているようなきれいな街並みですよね。観光振興の取り組みとして、他にも色々あるんですよね」

和泉「あしかがフラワーパークという花のテーマパークがあります。世界一の藤棚があり、GWの時期にはお客様がたくさん訪れます。もう一つ、約20年前からイルミネーションに力を入れていまして、三年連続でイルミネーションアワードのイルミネーション部門ランキング一位に選んでいただきました。去年にはフラワーパークの目の前に新しいJRの駅もできました。自動車の渋滞がひどかったのですが、電車のお客さんも来ていただけるようになりました。アメリカのCNNが選んだ、世界の夢の旅行先10ヶ所に日本で唯一選んでいただいたおかげで、外国からもたくさんのお客さんが来てくださっています」

塚崎「あしかがフラワーパークを撮影してみていかがでしたか?」

浅岡「まず広さに驚きました。出店もたくさんありますよね」

塚崎「僕も毎年お邪魔しているのですが、最近のお店の賑わい方はすごいですよね。出店やショッピングストリートなども凄いです」

和泉「あしかがフラワーパーク側も毎年お客様に飽きられないように楽しんでいただける工夫をしています。これだけたくさんのお客様を惹きつけているのにはやはり理由があるんだと思います」

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塚崎「他にもライトアップに取り組まれているのですか?」

和泉「はい。ここ3年くらいで、夜の足利をきれいに演出する取り組みに力を入れています。足利は繊維で栄えたのですが、銘仙という絹織物の一大産地でした。この銘仙の柄を使った行灯を街中に置いていく取り組みをしています。例えば、ここは日本最古の学校 足利学校ですが、ここでもライトアップをしています」

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和泉「これは足利織姫神社という神社なのですが、銘仙灯かりを点灯して光の演出をするという取り組みです」

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塚崎「こういう風に銘仙を着ることもできるんですよね」

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和泉「足利の中心部に足利まちなか遊学館という施設がありまして、ここで銘仙の着付け体験をすることもできます。市内外から来ていただいたお客様がここで着替えて、足利の歴史ある街並みを体験しながら散策していただけるということで、外国人のお客様にも大変喜んでいただいています。鎧兜の着付けも楽しんでいただきたいと思います」

塚崎「今日、女性スタッフ(写真向かって左)が着ている着物がその足利銘仙で、浅岡さん(写真向かって右)とわたしが着ている鎧兜が、足利市で貸し出しをされている鎧兜です」

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塚崎「それではここからは、浅岡さんに一年を通じて撮影していただいた写真を見ていきたいと思います。足利花火大会はいかがでしたか?」

浅岡「花火の規模も大きくてすごく美しいのですが、何よりもっと驚いたのが人の多さです」

和泉「50万人以上の方がお越しになっています。花火を間近で見られるので振動が体に伝わってきます」

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塚崎「ものすごい迫力ですね。近くで見られるのもいいですよね」

和泉「近くで見られる迫力と、打ち上げの数の多さが人気の理由だと思います。数も2万5,000発と関東では指折りです」

浅岡「普通の花火大会だと失敗すると落ち込むのですが、足利の花火大会は次から次へと花火が上がるので、落ち込む間も無く撮りやすかったですね。逆にあらゆる可能性があるなと感じました。撮りたい角度が多すぎて、自分の体が足りないとまで感じたほどです」

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浅岡「離れた橋の上から望遠で撮っていて、後ろの花火がボケている写真です。普通は花火にピントを合わせてシャープに撮るのですが、このときは浴衣のモデルさんがいらっしゃったので、花火をボカして幻想的に撮影しました。右側のカットはストロボを当てています」

和泉「広い河川敷を使っているので、360度どこからでも見ることができます。50万人と聞くとちょっと驚いてしまうかもしれませんが、場所は余裕を持って見ていただけます。最近ではカップルシートをご用意しています」

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浅岡「渡良瀬川です。夕日がきれいに入るので、夕日を生かすとストーリー性あふれる写真が撮れます。モデルさんにはあまり指示を出さず、ちょっとくつろいだり遊んでもらったりしました」

和泉「あしかが輝き大使の森高千里さんの曲にもある渡良瀬橋ですが、昭和のいいところが凝縮されているいいカットだなと思いました」

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和泉「2月3日の節分の日に、毎年鎧年越しという行列を行なっています。今から750年前くらいに当時の足利氏が鎧を着せた武士を500人、鑁阿寺の南門に集めて勢力を誇示したという故事があり、それに倣って行なっています。市民だけでなく、申し込みをしていただければ誰でも参加ができます」

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和泉「私も毎年大将ということで一番立派な鎧で参加しています。全部で30kgくらいあります。沿道は自由に応援していただいたり、撮影もしていただけます。鎧の行列はなかなか撮ることができないと思うので、ぜひ遊びに来てください」

浅岡「行列を撮るときは街並みをまず見て、どこを背景にしようか考えて、そこで待ち構えておくといい写真が撮れます。明るさは街灯だけなので、高感度に弱いカメラや暗いレンズの場合は、明るいところを確認しておくといいと思います」

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塚崎「早朝のあしかがフラワーパークですね」

浅岡「後ろからストロボを当てることが前提だったので、リフレクションを使うため特別に許可を得て水を撒いたんです。さらにホースで水を飛ばしていただいて、飛沫を演出しています」

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浅岡「藤棚の花が散って落ちているのですが、開園前にスタッフの皆さんが全てお掃除をされるため、逆に残っているシーンが珍しいんじゃないかと思い、それを生かして撮りました。今回ストロボは地面すれすれにして、花の立体感を出しました。モデルさんから羽が生えているようにストロボを当てています」

塚崎「見頃はいつなんでしょうか?」

和泉「冬が寒いか温かいかでも左右するのですが、平均すると一番のピークはGWの最中です。藤は種類によって時期が少しずつずれて咲くので、長い期間(1ヶ月程度)楽しんでいただけると思います」

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和泉「地元のいいところはそこに住んでいる人が一番気づいていないということがあると思うんですね。今回こうして浅岡さんに切り取ってもらったことによって、我々足利に住んでいる者も足利の良さに改めて気づいて、価値を再確認できたと思います。そしてそれを発信していくという循環が生まれる喜びを実感しました」

塚崎「ここにいる写真家の方々も実際足利に行っていただき、魅力を発見して、写真に撮って発信していただければと思います。本日はありがとうございました」

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