北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

2019年7月12日(金)~15日(月・祝)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2019写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選、コンテスト入賞者などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。

7月13日(土)に行われた北海道 帯広市(ばんえい十勝)のトークショーでは、カメラマン 山岸伸氏、帯広市副市長 田中敬二氏にご登壇いただき、「ばんえい競馬」というテーマでお話しいただきました。

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

東京カメラ部運営 塚崎(司会)「本トークショーにお越しいただきありがとうございます。実は東京カメラ部に投稿していただいている中の1割ほどはプロカメラマンとして活動されています。このプロカメラマンという世界、従来の仕事の領域は競争がどんどん激化していてとても厳しくなっています。そのため、東京カメラ部は、写真家が持っている優れた力を生かした新しい仕事を生み出すことで、写真家の仕事の領域を広げようとしています。その一環として、「写真家の美しいものを見つけ出す目」を生かして、知名度がまだまだ低い地方の魅力を見つけ出し、「写真家の美しいものを切り取る力」を生かして、その魅力を写真にして、世界中に発信をするというような取り組みをしています。実は山岸先生は、わたしたちがこうした取り組みを開始するはるか前から同様の取り組みをなさっていたのです。具体的には、山岸先生は、まだまだ知名度が低かった段階から帯広市、特にばんえい競馬の可能性に着目され、ずっと写真を撮り続け、その写真の発表をなさってきました。その結果、ばんえい競馬の知名度は向上して、今やかなりの人気となったのです。今日は山岸先生ご自身と、被写体となった帯広市の方の観点から、実際にどのような経緯でこの取り組みが始まり、そして今に至ったのかをご紹介したいと思いこのステージを設けさせていただきました。先生の写真を拝見しながらお話をお伺いしたいと思います」

山岸「よろしくお願いします」

田中「帯広市副市長の田中です。本日はよろしくお願いします」

塚崎「そもそも、先生はなぜばんえい競馬を撮りたいと思われたのですか?」

山岸「実は病気に罹り、あまり働かない方がいいんじゃないかと言われた頃、知人に『北海道に馬を撮りに行こう』と言われたんです。動物の写真は初めてだったのですが、朝の調教を撮って東京に帰ったらすごくいい写真に見えたんです。もう一度撮りに行きたいと思って、一週間後にすぐ帯広に向かいました。その時は写真を撮っている人は誰もいなかったので、どうぞどうぞと受け入れてくれたんですね。もしかするともう余命がないのではと自分で思い込んでいたので、どこへでも行くぞと思っていました。馬たちが僕に生きる力を与えてくれたと思っているんです。写真を撮るというより、ファインダーを覗きながら馬たちに『僕に力をください』と祈っていたんですね。そうしたらいつのまにか馬のいる風景を撮るようになっていたんです。将来自分はどうなっていくんだろうという不安をこの場所が打ち消してくれた。そこから13~4年のお付き合いをさせていただいています」

塚崎「最初は仕事で行ったわけでも、仕事にしようと思ったわけでもなかったんですね」

山岸「ばんえい競馬は、僕にとっては数少ない写真家としての活動です。普段僕はカメラマンなので、『こんな写真を撮ってくれ』と頼まれたものを撮ります。しかしばんえい競馬場では、当初は自分で飛行機やレンタカーや宿を取って動いていました。3~4年は甘えることなく、辛い思いをしながら、人に怒鳴られながら。でも不思議と我慢ができたんです。そういう経験をさせていただいたのがばんえい競馬です」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「田中副市長はそのときどう感じていらっしゃいましたか?」

田中「実はこの競馬場自体、平成18年11月に一旦廃止されたんです。なんとか存続したいと帯広市が活動を始めたタイミングで先生と出会いました。ばんえい競馬が一番大変だった時期からお付き合いいただいて、その後3冊もの写真集を出していただいている間に、多くの方々に認知をしていただきました。競馬ファンだけでなく世界の方や女性の方にも見ていただいています。去年おかげさまで馬券発売額は244億円に達し、今年も30%で伸びています。先生の写真の力が大きいと思っています」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「こちらの作品は?」

山岸「競馬場の写真です。競馬場の一周は2~3キロですが、そういうところに馬が600頭以上います。働く人たちも250人以上」

田中「ここは厩舎で、一棟に24頭の馬が入っています」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

山岸「日の出を撮りたい場合はその時刻の大体1時間前くらいには競馬場にいます。今日はどこから撮っていこうかと計画していくのですが、馬が通るとついつい撮ってしまいます。日の出前なので、馬の姿が写るか写らないかの明るさなのです」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

山岸「僕はなるべく高感度で写真を撮りたくないんです。写真がなんでも写る時代になって、あとから現像すればどうにでもなるのですが、僕は見たまま撮りたいと思うんですよね。見た目通りの明るさで写したい。ですから馬がブレてるとかピントがズレてるとかはあまり関係なく、競馬場を僕の見たまま皆さんにお見せできればいいなと思って撮っています」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

山岸「ばんえい競馬場には真夏には行かないんです。寒い時期は氷点下10℃にもなります。自分と戦うというか、自分を厳しい状況に置いておかないと、写真ってなかなか撮りたいと思わないんですね。カメラと共にその寒さに耐えることができるということは、僕はもう少し生きていられるかなと実感するんです。そういうところに身を置いています」

田中「一番の厳寒期だと思うので、氷点下15℃くらいですかね。夜明け前は相当寒いですよね」

山岸「僕が行くと、副市長なのに必ずついてきてくれるんです。優しいので、撮影が終わると奥様がホットココアをポットに入れてきてくれて、みんなでトイレの前でそれを飲んでいます(笑)」

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山岸「この写真はついこの間撮影したものですね。写真集を出す時に何か写真が足りないと思って、強い馬だけを撮りに行っていたんです。毎回光が違うんですよ。どんなに頑張っても光が違って、見るところが違ってくるんです。この時はちょうど馬の後ろに太陽が上がってきた時のショットですね」

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山岸「時期が1週間ずれると陽が昇る位置が違うので、馬の通る場所は同じですが写真が変わります。僕はあえて競馬場から外に一歩も出ないんですよ。あの狭い競馬場の中でどれだけ大きな画が撮れるかというのが僕のテーマなんです」

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山岸「馬って350度視界が見えるので、カメラを持ってしゃがんでいると、僕を見てくれるんです」

塚崎「相当大きい馬ですよね」

田中「大きい馬で大体1200kgあります。キタサンブラックなどのサラブレッドでも550kgくらい。それくらい差があります。ここの馬たちは平均で1050kg~1100kgくらいですが、元は農耕馬なので性格は温厚です。馬は顔が長いため、冷たい空気を吸っても肺に温めて入れられるようになっています。寒くても大丈夫で、逆に暑さには弱いですね」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「後ろに引いているソリも重いんですよね?」

田中「レースに使うソリは450kgの重さがあります。重賞レースだと1トンくらいを引きます。ソリの上に乗る騎手は、重しの入った箱を持って77㎏になるように統一しています」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

山岸「これは日高山脈ですね。日高山脈の姿を見せたいなと思って撮りました」

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山岸「カラスですね。冬に餌がないので競馬場に餌を求めて来るんですよ。無数にいます」

塚崎「こういう写真を撮りたいという方がたくさん来るんじゃないですか?」

田中「重賞レースの朝は一般の方20名くらいを限定でご案内するのですが、冬の間はいっぱいですね。予約していただかないと当日はとても無理です」

山岸「静寂の中で馬の鳴き声と、馬が歩いてくる足音しか聞こえてこないと、自分がどうしたらいいかというのを考えますよね。マナーが悪い人でもあの凜とした空気の中にいると、変わると思います。僕もなんでもOKと思っていたのですが、競馬場に入った瞬間から身が引き締まって、絶対に人に迷惑をかけない、馬に迷惑を変えないという気持ちで行っています」

塚崎「何年前くらいから人が増えていったんですか?」

田中「7~8年くらい前かなと思います。でも先生がいらした時は本当に誰もいなくて。競馬場の中では馬が一番で、馬に何かする人はみんな悪人です。先生がいくら有名な写真家でも、どやしつけられる。横についた方が例えば傘を開いたら、200mくらい先から怒声を浴びせられます。それくらい馬は繊細ということです。馬は臆病ですし、調教しています。馬を怪我させるわけにはいかないので、それを少しでも破ると怒号が飛んできますね」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「すごい写真ですね」

山岸「でも、ごくごく普通の冬の風景ですね」

田中「朝2時くらいから調教を始めます。大体1頭1時間くらいですね」

山岸「馬を引いている人が寒いって言ってないのに、撮りに行ったカメラマンが寒いって言えないですよね。それくらい気合が伝わってくる現場です」

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山岸「冬の写真ですが、たまたま湯気が出ていないだけで、鼻が凍っていますよね」

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山岸「知らずに撮っていたのですが、当時一番強い馬だったんです。後で騎手の方に教えていただきました」

田中「不思議なのは、先生が被写体にする馬も騎手も、みんな強いんですよ。誰も教えていないのにすごいなと思います」

山岸「朝の調教の中で馬の名前を覚えられるまでの余裕がないのですが、強い馬は僕に『撮りなさい』とシャッターを押させてくれる何かがあるんでしょう。今回写真集を制作するにあたって3頭の名馬を撮ったのですが、やはり馬の作りが違うと感じました」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「競馬場の中には犬も一緒にいるんですか?」

田中「犬は家族ですから、一緒に散歩しています」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「これがレース場の様子ですね。レースを簡単にご説明いただいてもよろしいでしょうか?」

田中「最大10コースのセパレートコースで、全長が200mの直線コースになります。スタートラインから小高く見えるのが1mの第一障害。手前に見えるのが1m60cmある第二障害でここが一番の山場です。普通の平地競馬と違うのは、騎手が馬を停止させ、第2障害に向けスタミナを温存させます。そして息を合わせて一気に登るんです。これはレース前に最後の調整をしているシーンですね」

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田中「第二障害をちょうど登って、7番が先頭を切って上がっている場面ですね」

山岸「競馬なので本当はもっと寄りたいんです。でも皆さん馬券を買って見ているわけだから、カメラマンが一人そばに寄って、賭け事をしている時に写真を撮るってできないですよね。これが僕に今許してくれる競馬場の最大の限界ですね」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

田中「これは鞭打(べんだ)と言って手綱を使って騎手が馬にサインを送っている場面ですね。坂を越えたからここから一気に止まらず行け、と。鞭を打つのがかわいそうと思われるかもしれませんが、実際は鞭ではなく手綱です。鞭打に関しては平常時の馬と心拍数がそれほど変わらないという実験結果も出ています。馬は痛みではなく合図と捉えているんですね」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

田中「騎手が馬体よりも横に顔を出すんです。馬は耳も後ろの音を聞こうとしていますし、目も後ろの様子を気にしながら走っているところですね」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

田中「平地競馬では背中に乗って鞭を打ちますが、ハミしか繋がってないんですよ。鞭打で合図を送るだけの競馬なので、それだけ技術が必要です。まっすぐ走っているように見えますが、実際は蛇行しながらもがきながら走っています」

山岸「後ろに見える左端の大きい建物が帯広市役所です。こんなに狭い中で行われている競技をいかに広く見せるかということが僕のテーマでもあるんです」

田中「その気になれば駅から歩いて来れます。街の中にある競馬場なんです」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

山岸「自分では見逃していたのですが、ある広報誌にこの写真を選んでいただいたんです。よく見たらいい写真ですよね。急遽僕の中ではウエイトの高い写真になりました。北海道の寒い中で頑張っている馬というのが、この1枚で表現できていると思います」

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田中「これは最後の追い込みですね。勝てそうだから相当大きな声を出している場面です」

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田中「平地競馬だと鼻先ですが、ばんえい競馬はソリの最後端で争うんですよね。写真判定になるレースもあります。200mを2分くらいで走りますから、子供でも十分走ってついていけるスピードなんです。ルーツが元々農家の方たちが自分の馬の力比べをしたことなので、荷物を運ぶことの大変さが伝わると思います」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「こちらはまっすぐ走ることの大変さが伝わる写真ですね」

田中「横から見るとまっすぐ走っているように見えますが、実は蛇行してその跡が畝(うね)になっています。第二障害に行くともっとすごくて、まっすぐ登ればいいんですがどうしても横によれて、隣のコースまではみ出てしまう時もあります」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「夜間やっている様子もあるんですね」

田中「開催が土曜・日曜・月曜なので、土日はJRAさんと重なってしまうんですね。なので馬券を売るために、最初は仕方なく夜に開催したんです。今はそのままナイターで行なっています。最初は騎手の方から抗議があったのですが、今は売り上げが増えて騎手の方にも報酬を増やすことができました。文句を言う人はいなくなりましたね(笑)今はやめる人もいなくなって、家族を持てる方もいらっしゃいます」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「この後ろのマークはなんでしょう?」

田中「『フードバレーとかち』といって十勝全体で標榜しているトレードマークです。食と農業に特性がある場所なので、美味しいものを提供できる地域だと言うことを表すシンボルマークですね。スプーンの先が当たっているのが十勝で、今ちょうどドラマ「なつぞら」の舞台にもなっています」

北海道 帯広市(ばんえい十勝):カメラマン 山岸伸、帯広市副市長 田中敬二、東京カメラ部運営「ばんえい競馬」|東京カメラ部2019写真展

塚崎「鋼の錬金術師などで有名な荒川弘先生が、銀の匙という漫画で北海道帯広市の高校生の生活を描いたものがあります。その中でばんえい競馬が出てくるんですよね」

田中「荒川先生がスタッフの方をお連れになって、写真に収めに来られました。漫画で忠実に再現されています。ある話で、ヒロインが競馬場を写真に撮るシーンがあるのですが、発行された翌週、皆さんがいらして同じ絵で撮られているんですよね。とても影響が大きかったと思います。ファン層が変わりました」

山岸「荒川先生とお会いしたことはないですが、一人よりも二人、二人よりも三人と力を合わせればもっといろいろなことができると思っています。荒川先生は僕らにない力を与えてくれる方だと思っています」

塚崎「お二人の先生の力は大きかったですか?」

田中「間違いなく大きかったですね。昔はギャンブルだからと取り上げてくれなかったのですが、テレビ局の方から番組を作らせてくれとオファーがあるくらいです。これはばんえい競馬のイメージを、先生方が上げてくれたおかげです。ファンになって通っていただける方も増えて、入場者数も毎年上がっています。帯広にとって観光資源になりました。小さな町ですが、人口の何倍もの人が来ていただける場所になっています」

塚崎「ありがとうございます。山岸先生、ばんえい競馬場の写真集が出版されるんですよね。最後に告知をお願い致します」

山岸「朝日新聞出版から8月に写真集が出版されます。発売になりましたらぜひチェックしてください。本日はありがとうございました」


<関連リンク>
山岸 伸 写真集「輓馬 BANEI KEIBA」
ばんえい存続運動の功労者に訊く当時の想いと再生の決意(PDF形式)

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