2016年6月23日(木)~26日(日)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2016写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。
6月25日(土)に行われたオリンパスのトークショーでは、山本まりこ氏にご出演いただき、ライフワーク的に撮影されている熊野古道の道中記、そしてOLYMPUS PEN-Fを使った作品づくりについてお話しいただきました。
「今日わたしがお話するテーマは、PEN-Fを持って歩いた熊野古道の中辺路についてです。実はわたしは中辺路を歩く前に、ずっと熊野古道を歩いてきました。2014年の秋から1年半くらいかけて、3日歩いては帰ってくる旅を繰り返して、伊勢路という伊勢神宮から始まって170kmくらいの道をずっと歩いていたんです。だからもうしばらく熊野古道はいいかなと思ってたら、PEN-Fで作品を撮ってくださいと言われて、熊野古道が浮かび歩きに行きました。そして、今回使用したOLYMPUS PEN-F、このカメラはドラえもんだと思いました。本当に色々な機能がたくさん出てくるんです」
「皆さんが思い描いている熊野古道は石畳で山深い、こういう景色だと思います」
「アートフィルター『トイフォト』を使って撮影した和歌山県の地図を見てみてください。この緑色の道が全部熊野古道なんです。今回は熊野速玉大社から那智大社まで約20kmを3日間で歩いてきました」
「熊野古道を歩く時にはいつも新幹線と特急を使って向かいます。所要時間は6時間と遠いのですが、慣れてしまいました。いつも新横浜から向かうのですが、まず買うのが『新横あんぱん』。おいしいんです」
「熊野速玉大社があるのは新宮駅。ここから今回の旅は始まります。『速玉』と書くので、野球選手がお参りに来たりするようです。この写真はわたしの好きな場所で、ナギの木が立っています」
「ナギの葉を大好きなM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8のレンズで撮りました。玉ぼけが綺麗ですね。昔の人は、簡単に切れないナギの葉っぱを、夫婦円満などのお守りとして持ち歩いていたそうです」
「熊野速玉大社の近くにおいしい氷屋さんがあります。スイカ氷と言って、安くて美味しいのでぜひ食べてみて欲しいです」
「歩き始めると石畳ではなく、色々な景色があります。紺屋坂という峠に来ると急に涼しくなりました。暑い日でしたが、山の風が涼しいです。春は新しい緑の色が芽吹いて本当にきれいだなと思いました。こんな神社もありました。猫が10匹くらいいて、歩いているとくっついてきてくれました」
「次の日は宇久井駅から歩き始めました。この日は小狗子峠へ。きのこがあったり、竹やぶがあったり、カニがいたりします。峠を越えると青空が広がっていて、村人がいました。『何をしているんですか?』と話しかけたら仲良くなって、海に連れて行ってくれました。知らない人と出会ってどんどん話が広がっていく。それが旅の醍醐味です」
「海でのんびりしていたら、ご飯をご馳走してくれるというので、お家にお邪魔することにしました。この辺りで採れたアワビを調理しているおじさんを、アートフィルターの『ヴィンテージ』で撮りました。オリーブオイルが散る様がワイルドですね。びっくりするほどおいしかった。最後にみんなで集合写真を撮りました。また遊びに行きたいと思っています」
「この後は那智大社に向かいます。那智大滝という大きな滝があり、それが御神体になっています。山の中に入ると急に涼しくなって本当に気持ちいいんです。PEN-Fの機能の一つ、カラープロファイルを使用して撮った写真を見てください。こういう画面が出てきて、それぞれの色ごとに強くしたり弱くしたりを調整できるんです。わたしはここでは爽やかな青緑を出したかったので、黄色を弱くし、青を強くしています。すごいですよね。今までは青を強くしたかったらホワイトバランスの設定を電球に変えて、アンバーとグリーンの足し引きで色を作っていたと思うんですが、一つ一つの色を足したり引いたりできるからすごく面白くて、素晴らしい機能だと思いました。例えるなら『撮れるPhotoshop』ですね!」
「そのままの設定で、動画も撮れます。苔がきれいだと思ったので、カラープロファイルでグリーンを強めにしています。そんな微妙な微細な調整もできるんです」
「那智大社に進んでいく途中、奥に那智大滝が見えました。きれいな滝を、エアリーな空気感で撮りました」
「その後は夕焼けを撮りに行きました。この日は満月に近い大きな月が出ている日でした。見た目はもっと黄色いのですが、月のピンクが出るようにカラープロファイルでピンクを足しました。一つの色を強調することもできるんです」
「本当に星がきれいだったので、ライブコンポジットで撮りました。この機能は明るく変化した部分のみが合成されるんです。例えば街の景色は光が動いていないのでそのままで、星が動いた箇所だけが合成されていきます。だから街の光が白飛びしないんです。しかもリアルタイムでどこまで露光したかを液晶で確認しながら撮影できます。こんなに星空を撮りやすいカメラは初めてでした」
「次の日の朝は那智大滝を撮りに行きました。朝は気持ちよくて気分も上がります。朝すごく早く行ったら誰もいなかったんです。一時間半くらい一人で撮りました。三脚においてシャッタースピードを遅くして撮っているので、水が筋状に写っているんですが、本当に気持ち良かった。滝の音も本当にすごい音だった。叫びながら撮っていたけれど、誰もいなかったから変な人とは思われていないはず(笑)。これもカラープロファイルで水色を強調しています」
「最後に一人で記念撮影しました。自分撮りも旅の良い思い出になります」
「PEN-Fは、さまざまなアートフィルターを適用することで、こんなに違いが出ます。後からレタッチをするのではなく、カメラの中で編集しきってしまうのが私は好きです」
「帰りは川から熊野古道を体験したいと思い、船で下ってきました。昔の人たちもお金持ちは那智速玉大社のあるあたりまで船でくだってきたそうです。それを体験してみました。案内してくれたのがこのお母さん」
「そして船頭さんがイケメンでした。その雄姿は動画でも撮影をしてきました」
「この日の夜は熊野市の丸山千枚田というところに星空を撮りに行きました。そして、暗くなっていく過程をインターバル撮影をしてみました。PEN-Fではインターバル撮影ができます。設定はISO800、シャッタースピード1/8秒、ホワイトバランスは蛍光灯でアンバー+7、 グリーン-7、20秒に一枚撮れる設定で約28分、78枚撮影。画像としてだけではなく、『動画にする』という項目をチェックしておくと、カメラが自動で動画として保存してくれます」
「同じ日、棚田で星空も撮りました。ホタルがいました。比較明合成で明るいところが合成されていくので、ホタルが飛んでいる様子もしっかり撮ることができました」
「三日間満喫して、東京に帰っていきました。新幹線の中もRAWで撮影しているため色んな遊びができるんです。そして、遊んでみました。熊野川とマグロの鯉のぼりを画像合成しています」
「こんな今回の旅を、一つの動画にまとめてみました。『フォトシネマ』というソフトを使って作っています」
「後日、『カラープロファイル』という機能をもう少し説明したいと思って、岐阜に行ってきました。『モネの池』を撮りたかったんです。ノーレタッチで、カラープロファイルだけを使い撮った一枚です。青と赤を強調して、黄色を抜いています。これが撮れた時は、素直に嬉しいと思いました。ぜひみなさんも、『撮れるPhotoshop』であるPEN-Fを楽しんでください」