2018年4月26日(木)~5月5日(土)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2018写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。
4月30日(月)に行われたプロフォトのトークショーでは、東京カメラ部10選 下園啓祐氏(DE&Co.)と SHUN氏(LA-VIE Factory)にご登壇いただき、「ウェディングフォトのこれから」というテーマでお話しいただきました。
司会「下園さんがウェディングフォトを撮るようになったきっかけを教えて下さい」
下園「ウェディングフォトグラファーになって10年くらいです。前の仕事は帽子の販売だったんですが、デザイナーのように自分の感性で仕事ができるのが素晴らしいと思い、クリエイティブな仕事に就きたいなと。趣味だった写真に当てはめて考えた場合、ウェディングならば仕事として取り組むことができると思いはじめました」
司会「前撮りと挙式の割合は?」
下園「前撮りが多いですね。9:1くらいでしょうか。両方好きですが、挙式の方がよりリアルで好きかもしれません」
下園「おふたりらしい写真を撮りたいという想いがありまして、いかにおふたりが構えずに『らしさ』が出るかを大切に考えています。この写真は、シュレッダーのゴミを思いっきりおふたりに投げて撮りました」
下園「撮影しやすくするために、思い切り走っていただくという方法もよく行います。全力で走ると、カメラの存在を忘れていただけるんです」
下園「さまざまな海外の写真を見て勉強しています。ウエディングってこういう写真じゃないといけないという固定概念をぬぐい去りたいんです。これは、新郎を数メートル手前に立ってもらい、ストロボの影を作って撮影しています。もう少しこっち、みたいにかなり微調整しましたね」
下園「文字を入れてストーリーのあるような組写真にもチャレンジしたりしています」
下園「これは合成写真です。ちょうどいいテーブルがあれば1枚写真で撮れたかもしれまっせん。新婦さんに床にキスしてもらっいます。海外のコンテストに初めて出したときに、シルバーアワードをいただいた1枚。喜んでいただき、いまも家に飾ってくださっているそうです」
司会「続いて、SHUNさんの作品を拝見していきたいと思います」
SHUN「これはパリで撮影をしています。僕の場合はいまは前撮りの方が多く、ここ数年で海外での撮影依頼も増えてきています。1件で一週間はかかりますね」
SHUN「南フランスのプロヴァンス地方です。すごく広いところに個人タクシーが2台しか走っておらず、タクシーを確保するのが大変でしたね」
SHUN「グアムで撮影をしています。海外での撮影の依頼は圧倒的にイタリアを希望される方が多いですが、実際に撮りやすいのはグアムですね。海も緑もありますし、どこで撮っていても注意されないという点もやりやすいです」
司会「ここからは、世界最小のスタジオライトであるProfoto A1をおふたりにお使いいただいた感想を伺っていきます。プロのウェディングフォトグラファーにとってProfoto A1はパートナーになりうるのでしょうか」
下園「今までは純正を使っていましたが、ハイスピードシンクロがしたいと思いProfoto A1を使いはじめました。1/8000秒でもシンクロできるのがポイント。この写真はスタジオ撮影で瞬間を止めたいなと思い撮影しています。向かい側に扇風機があり、ものすごいスピードでドレスや髪の毛がなびいていましたが、ハイスピードシンクロでピタッと止まっています。マグネットでくっつくドーム型のディフューザーが付いていて、光をやわらかく均等に当ててくれます」
下園「これは天井にバウンスしただけです。他のライトだともっと強めの影が出てしまいますが、Profoto A1はかなりやわらかい印象です」
下園「これがその時の撮影風景です。オフカメラの位置からの天井バウンス。それだけで十分に美しい写真になりました」
司会「ロケ撮影の写真に移ります」
下園「夕暮れ前で西日が強かったので、影を起こす意味で少しライトを入れました。自然光だと発色が悪くなるところを、Profoto A1を使えば良い色にしてくれます。Profoto A1は軽いので、少人数のロケでも女性に持ってもらえます。この時はヘアメイクさんに協力してもらいました」
下園「真後ろから1灯、横から1灯の2灯を使い、暗い場所でも優しい雰囲気の逆光を作ることもできます。日が完全に落ちてからもここまでできるんです」
司会「続いて挙式・披露宴での撮影でProfoto A1を使っていただきました」
下園「快晴で日射しが強かったので、顔を明るく出すためにProfoto A1にドームディフューザーを付けて撮影しました。チャージが速く、一瞬でシャッターが切れるのに感動しましたね。ここは淡路島にあるグリーンファームというキャンプ施設です」
司会「続いてSHUNさんにProfoto A1の感想を伺っていきます。ストックホルムでの前撮りでご使用されてみていかがでしたか?」
SHUN「「太陽光が強くてとても困るシーンでした。これは2灯を同じ位置から当てています。僕のライティングはほぼ同じ。だいたい被写体の正面から110度くらいの位置ですね。前から打つことはほぼありません。僕は立体感が欲しいので、半逆光から打ち陰影を付けるんです」
SHUN「この写真もメインの1灯は110度です。髪の毛が少し輝いていますが、これを『エッジ』と言いまして、エッジを立たせるために背後からもう1灯当てています。普段であれば大きなアンブレラを使うところですが、そういうものを使わなくても意図した通りになりました」
SHUN「世界一狭い通りと言われている場所です。光をやわらかく使いたい場合、被写体に対しての相対的な光源の面積で決まってくるんです。物理的にこんなに狭い場所では光源の面積は広くできませんが、Profoto A1はやわらかさがあるので、高コントラストにならずほぼ一発でオーケーでした」
SHUN「夕暮れの時間に合わせてここで撮影をしました。撮影は朝から晩まで行いますが、サンセットはどこで撮るのかが重要で、まずそこから決めていきます。ここではProfoto A1を3灯使っています。崖の上なので軽くないとできないですよね。日が落ちてからの撮影ではモデリングライトが付いているので便利です」
司会「TTLは使いますか?」
SHUN「初めはTTLで撮り、そこから微調整していきます。TTLで数値が出た後も、マニュアルで調整すれば数値が記憶されるので便利ですね。ウェディングの撮影は時間がタイト。少ない操作でそこまで持っていけるのは助かります」
司会「これからのウェディングフォトはどのようになっていくと感じますか? またどんなチャレンジをしていきたいですか?」
下園「ウェディングフォトグラファーは作家性を出せると思います。広告などのようにクライアントの希望通りではなく、カメラマンの個性を出してもいいので、写真好きな人にとってはありがたい世界。ウェディングフォトに決まり事はなく、カメラマンから提案することでもっと進化していくと思っています。僕にも野望はあって、ウェディングフォトであっても写真集などにしたいですね。海外では見たこともあります。教本ではなくても写真集が出せるような流れになったらいいですよね」
SHUN「ウェディングフォトをはじめたきっかけは、スタジオにこもりっきりでなく、自由度が高く自分の好きなようにできるからです。ただ、日本のウェディングフォトは少し遅れていると思います。やっと追いついてきたかなという感覚なので、もっと発展させていきたいです」
下園「僕は2年前に海外のコンテストに初挑戦したんですが、そのときはあまり日本人はいませんでした。でも、昨年は急激に日本人が増え、少しずつウェディングフォトの世界も拡がっていくんだろうなと思っています。日本人は器用だと思うので、海外の良い部分に影響を受けながら、日本人らしい写真を世界へアピールしていけたらなと思っています」
司会「今後のご活躍期待しております。本日はどうもありがとうございました」
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