【観光資源の開発TIPS①】「今ある資源を活かす」考え方のヒント
地元に人を呼び、活気を高めるために日々頭を悩ませている方も多いと思います。
地域活性化の第一歩は、新しい資源探しではなく、今あるものの見方を変えることから始められます。それが効果的である理由と、実際に活性化につながった事例をご紹介します。
※発見した地域資源を集客・収益につなげる、具体的な実践アイデアはこちらの記事で紹介しています:
→【観光資源の開発TIPS②】資源を集客・収益につなげる実践ノウハウ4つ
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色々な地域の方とお話すると「うちの町には、これといった観光資源がありません」という声をよく聞きますが、実際に現地を歩いてみると、素材そのものがないケースは意外と多くはありません。むしろ課題は、地元の人がその価値に気づいていないことだったりします。
「何もない」の正体は、“慣れ”かもしれません
毎日同じ景色を見ていると新鮮さを感じにくくなるのは自然なことであり、雄大な山並みや歴史ある神社など、価値の高い景観のそばで暮らしていても「何もない」と思ってしまうのは、景色に価値がないからではなく、日常的に接しすぎて見慣れてしまっているからだと考えられます。
地域資源の掘り起こしで最初に取り組むべきことは、今あるものを一度見つめ直し、「慣れ」から視点を変えることだと東京カメラ部は考えています。
見方を変える手軽な道具としてのカメラ
この「見方を変える」作業を、専門知識がなくても誰でも実践できるようにしてくれるのがカメラです。ファインダーで切り取った瞬間、いつもの電柱や田んぼが「被写体」になり、少しだけ今までより客観的に見られるようになります。撮って、見返して、また撮るというシンプルな反復から、その目線を育てていくことができます。
地域活性化というと大がかりな投資を思い浮かべがちですが、大きな予算や新しい施設がなくても、お手元のスマートフォンと「いつもの道を、旅行者のつもりで歩いてみる」という体験で発見の機会が作れますので、ぜひトライしてみてください。
実際に写真で価値が変わった例:無名の並木道が「全国区」に
滋賀県 高島市にある「メタセコイア並木」は、写真をきっかけに話題になった場所です。

東京カメラ部 日本写真100景 フォトコンテスト 2021年入賞
春木 悦代さんの作品
全長約2.4kmに約500本のメタセコイアが植えられたこの道はもともと、防風林としての役割も兼ねた、地元の人々の生活道路(県道)でした。地元の人にとっては日常的に使う「いつもの道」でしたが、写真家たちがその美しさに反応し、写真をSNSで共有したことで注目が加速しました。
その結果、かつては知る人ぞ知る場所だった並木道が、東京カメラ部10選2014の別所隆弘氏撮影の写真などをきっかけに、SNSで拡散して注目が集まり、大手おでかけ情報サイト・ウォーカープラスの紅葉名所人気ランキング等で神宮外苑の桜並木を抑えて全国1位になり、一躍全国区の知名度を獲得しました。

「写真で残していく『文化』、写真でつくっていく『まち』・東京カメラ部2019写真展トークショー
地元の人々の生活圏内に突如外部から人が来るようになったことにより、交通渋滞や路上駐車、撮影マナーの問題も生じましたが、高島市では、臨時駐車場の確保や渋滞回避のルート案内、マナー啓発、カフェ施設の開発などを公式に行い観光と生活の両立を図っています。
この事例は「地元の評価」と「外部(写真家の目線)の評価」に違いがあり、普段見ている景色にもチャンスがあることを表しています
地域活性化の目的地は、シビックプライドの醸成
地元にある資源を活用することのメリットは、「その土地にしかない魅力」を改めて実感できること、着手がしやすいこと、そしてもう一つあります。住民が自分の地元の魅力を再発見したとき、そこに芽生えるのは「うちの町、悪くないかもしれない」という小さな誇り、いわゆるシビックプライドです。
シビックプライドは、自分が住んでいる土地への愛着などを指す、「誇り」のニュアンスを含む概念です。都市デザインや社会学の分野では、過去への郷愁も含む「郷土愛」とは少し異なる、「自分はこの町を良くする当事者である」という、現在から未来に向けた関与の意識を含むと整理されることがあります。
シビックプライドと郷土愛の違いに関して、こんなデータもあります。内閣府の政策統括官の調査*1では、「若者や女性に選ばれる(転入超過の)自治体」において「今住んでいる地域への愛着」が際立って高いという結果が出ました。一方で「出身地への愛着」には自治体間で有意な差が見られませんでした。
居住地を決める大きな要因は雇用や教育といった「機会構造」ですが、それらと同時に、今この瞬間に感じられる生活のしやすさや、「この町は良い」という現在進行形の実感も住民に選ばれるために大事といえるのではないでしょうか。
地域資源を活用した地域活性化は、これらの要素のうち「この町は良い」「ここには魅力がある」といったまちへの肯定心を育てることに繋がると考えます。
そのため地域活性化の施策を検討する際は、外部集客数だけでなく、この「誇りの醸成」という観点も合わせて設計することをおすすめします。
まとめ
- 「地元の資源を活かした地域活性化」の第一歩は、見慣れている、普段のまちの営みや景色を客観的に振り返ってみることが大事
- 振り返りを手助けするツールとしてカメラが活用できる。ふだんの景色が「被写体」になることで、新しい発見の取得につながる
- 地元にある資源を使うメリットは、その土地特有の魅力を引き出せることと、着手のしやすさのほかに、「シビックプライドの醸成」がある。住民が自分のまちを誇りに思う気持ちは、定着や転入にも影響する重要な指標
※発見した地域資源を集客・収益につなげる、具体的な実践アイデアは、こちらの記事で紹介しています:
→【観光資源の開発TIPS②】資源を集客・収益につなげる実践ノウハウ4つ
*1 『地域における活力ある経済社会の構築に関する特別調査』(2025年)
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