オリンパスプラザ東京 オープニングウィークス 東京カメラ部10選 オリンパス3人展 トークライブ

新宿に場所を移し、5月9日(土)にリニューアルオープンした「オリンパスプラザ東京」。そのオープニングイベントに際し、「東京カメラ部10選」の中から3名のオリンパスユーザーが写真を展示。そして5月16日(土)には、「東京カメラ部10選 オリンパス3人展 トークライブ」が開催されました。

はじめに、司会者より東京カメラ部の概要、そしてトークイベントに参加する、千田智康さん、鈴木貴志さん、宇賀地尚子さんの紹介がありました。そして、各フォトグラファーによる作品解説へと進みます。

東京カメラ部10選2012 千田 智康

おひとり目は「東京カメラ部10選 2012」の千田智康さんです。司会者より、写真を撮るようになったきっかけが質問されました。

千田「スポーツ写真をキレイに残したいと思ったのがきっかけです。主に野球と競走馬ですね。今回の展示では、身近な風景にひと工夫入れた作品を展示しています。」

千田さんが「東京カメラ部10選 オリンパス3人展」に出展している作品をスライド上映しながらの作品解説に移ります。

千田「3枚に共通することは『仕事帰り』。わたしは渋谷で働いているのですが、左はいつも通る本屋さんで撮りました。立ち読みをしている方々のバランスがとても良いですよね。真ん中はヒカリエのエスカレーターに乗っているとき、光が良い具合にあたっているサラリーマンの方がいて、とっさに撮った写真です。設定をいじるヒマもなく、ISOはLOW、シャッタースピードは1/6秒。愛用しているOM-D E-M10は手ブレ補正が強力で、経験上1秒くらいまではブレなく撮ることができます。本当に素晴らしいですよね。右は渋谷の歩道橋。「ライブコンポジット」という機能を使って撮っています。電子シャッターで連写した画像をリアルタイムで比較明合成するので、光跡の出方を確認しながら撮ることができるんです。点線が光跡になる様は楽しいですし、とても便利な機能ですね。」

千田「続いての3枚は親バカ写真です(笑)。すべて息子との散歩中に撮った写真で、先ほどの3枚とともに、身近なもの、というテーマで展示しています。1枚目はハイアングルからタッチAFを使い撮りました。瞳の中に僕がカメラを構えているのが確認できるくらいシャープ。「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」のすごいところだと思います。

展示されている6作品だけでなく、トークショーのために用意した風景写真もスライド上映されました。

千田「星と桜吹雪を同時に残したいというのが僕の狙いでした。星空を写そうとしたら長秒撮影になり、桜吹雪はすぐに飛んでいってしまうので写りません。でも、この1枚には写っていますよね。何をしたかというと、これは水面を撮っていて、星のように見えるものは全て花びらなんです。」

千田「これは都庁で撮った1枚。都庁からはみなさんもよく撮ると思うので、ありきたりな1枚にしてはおもしろくないので、多重露出モードを使いました。1ショット目は絞り込んでピントもしっかりと合わせて撮り、2ショット目は開放絞りでピンぼけにしています。多重露出もライブコンポジットもおもしろいですよね。」

そして、最後は司会者より「被写体との向き合い方」が質問されました。

千田「わたしは一瞬を大切にしていて、これは、と心の琴線に触れたものは必ず写真に撮るようにしています。いつシャッターチャンスが訪れるのかわからないので、常にカメラを持ち歩くことは大切ですよね。」

東京カメラ部10選2013 鈴木 貴志

続いては「東京カメラ部10選 2013」の鈴木貴志さん。司会者より、写真を撮るようになったきっかけが質問されました。

鈴木「10年ほど前、フラッシュを使ったホームページを作るのが趣味という時期があり、その素材用の写真のためにカメラをはじめました。」

鈴木さんが「東京カメラ部10選 オリンパス3人展」に出展している作品をスライド上映しながらの作品解説に移ります。

鈴木「作品を撮るときは、まず自分のイメージを固めるためにスケッチを描きます。落書きレベルで、お見せできるような代物じゃないんですけれど、そういうイメージを形にしていきます。東京カメラ部さんにも、何とか持ってこれないかと頼まれましたが、まあ、あっても持ってこないですよね(笑)。この3枚は、赤と白の対比です。撮影場所は自宅、モデルは8歳の長女と5歳の次女、チューリップも撮影用に自宅で栽培しているものです。真ん中のマクロ撮影をしたチューリップは、白いチューリップでスポット測光を行っています。背景はただの壁ですが、最も被写体で明るい白を基準に測光しているので背景は真っ黒になります。こういう撮影方法は好きですね。マクロ撮影に使うレンズは、「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」。換算300mmのレンズで、ここまで寄れるのは本当にすごい。」

鈴木「この花のマクロ写真は、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROに1.4倍のテレコンを付けて撮っています。テレコンの有無の見分けが付かないくらいシャープ。簡易マクロ的な使い方もできますし、手ブレ補正の効き方も素晴らしいですね。」

鈴木「この写真に写っているのは全て僕。同じ露出で2枚撮影し、それを後から合成しています。OM-D E-M5は防塵防滴なので雨でも安心です。レンズも防塵防滴に対応していないとカビるので注意が必要ですが。いま思えばもっと楽な方法があったのはわかっていますが、セルフタイマー10秒で猛ダッシュを何十回も繰り返して撮影したんです。傘を林の中に投げ込んでポーズを取ったり(笑)。」

鈴木「この螺旋階段、たくさんの方が知っていらっしゃると思いますが、螺旋階段を異様に撮りたくなることってありませんか?さまざまなパターンを撮ったんですが、どうもおもしろみに欠け、何度も行き来していた係の方を入れてみました。これ、シャッタースピードは1/8秒なんです。人はぶれているのに、背景はくっきりシャープに写っていて、これもまた手ブレ補正のおかげです。僕は、人の動きをブレさせたいときは、1/8秒で撮るようにしています。これはこだわりで、1/6秒や1/10秒でも残像感が違うんです。」

最後に、司会者より鈴木さんにとって、写真とはカメラとは、という質問がありました。

鈴木「基本的に写真は、自分のイメージを表現するための手段であって、カメラはそれを撮るための道具ですよね。だから双方どちらもかけてはいけない存在。カメラを二丁掛け、多いときは三丁掛けをして、しゃがむとカンカン当たりながら撮影をしています(笑)。」

東京カメラ部10選2014 宇賀地 尚子

ラストは「東京カメラ部10選 2014」の宇賀地尚子さんです。司会者より、写真を撮るようになったきっかけが質問されました。

宇賀地「高校生の時に、実家にあった一眼レフでリンゴを撮ったんですね。それが両親に褒められて、そこから撮るようになりました。大学卒業後、撮影スタジオでアシスタントをしていたのですが、その時は仕事が嫌いで…。子供を撮っているうちに、もっとちゃんとしたカメラで残したいと思うようになりました。」

宇賀地さんが「東京カメラ部10選 オリンパス3人展」に出展している作品をスライド上映しながらの作品解説に移ります。

宇賀地「この作品は娘が2歳のとき、おひな様をイメージした和のテイストを目指して撮った写真。後ろからソフトボックスを定常光で当ています。基本的に、わたしは目線がいらないタイプなので、光が当たって欲しい場所に連れて行った後は、本人の自由にしてもらっています。PEN E-P5を使っていますが、遊びながら撮るので、タッチシャッターを使うことがほとんどですね。眼にピントが合っているものを選ぶようにしていますが、さらにくっきりと眼を見せるために、シャープネスはかなり上げます。」

宇賀地「こちらは、今年1月に個展をしたときに来て下さった方のお嬢さんなんです。すごくかわいらしかったので、持参していた着物を羽織ってもらい、撮影しました。背景は個展会場だったので、以前撮った梅の花をPhotoshopで重ねています。」

この作品を見た司会者から、写真を撮るときに意識しているのは「光」なのか、という言及がありました。光が当たっている部分、影となっている部分の表現の仕方から、宇賀地さんの世界観が伺えるという感想を持ったそうです。

宇賀地「光と構図ですね。表情は後からですね。いっぱい撮って、後からこの表情がいいなと選びます。特に影の部分が大事だと思っています、Photoshopの色調整で黒だけをあげたりすることも多いですね。撮影モードは絞り優先、開放でしか撮らないです。」

司会者から、これから撮っていきたい被写体についての質問がありました。

宇賀地「蝶々、特にアゲハチョウが好きなので、今後はもっと力を入れて撮っていきたいと思っています。この写真はもう少し花が少なかったのですが、花をコピーして増やしています。写真は頭にあるものを表現する手段だと思っているので、Photoshopはふんだんに使います。」

今後写真をはじめたい方へ3人からのメッセージ


司会進行を務めたのは、ご自身も本格的な撮影を行っている紗々さん。写真好きらしい視点からの質問が印象的でした。最後に、今後写真をはじめたい方へのメッセージを3名に聞き、トークショーは終幕となりました。

千田「先ほどとかぶってしまういますが、カメラを常に持ち歩いて、視界にちょっと入ったものでも、自分が『これは!』と思ったものがあれば、すぐに撮れるようにするのが大事だと思います。」

鈴木「僕は、写真家に必要な要素は3つくらいあると思います。ひとつは『表現力』、ひとつは『技術力』。そして、もうひとつは『行動力』です。富士山に撮影にいこうと思っていても、起きたらしんどくて、結局撮影に行かないということってありません? 写真はそこに行かないと絶対撮れないので、僕はそこをもう少し意識していければなと思っています。」

宇賀地「とにかく撮ることだと思っています。わたしもいつもカメラ持ち歩いていますし、いつでも撮れる態勢にそしておくことが、いいのかなと思います。」

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