トークショーレポート

Talk Show Report

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

2025年9月12日(金)~9月15日(月・祝)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2025写真展」が開催されました。

初日の9月12日(金)には、自治体様や、地域創生に関わる事業者様向けに、写真を起点にした地域創生の可能性についてトークショーを開催。
東京カメラ部株式会社 地方創生事業担当 執行役員/顧問 柄木孝志が登壇し、「一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策」というテーマで、継続的な地域発展のために現地に収益を生み出す大切さと、その仕組みづくりについて実体験を交え解説しました。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

こんにちは。東京カメラ部 地方創生事業担当 執行役員/顧問 の柄木です。本日のオープニングトークショーでは、約45分から1時間ほど、『写真を通じた地方創生』の可能性について皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

まずお伝えしたいのは、写真が地方創生においてどれほど大きな力を持つかという点です。現代の情報発信の中心はSNSであり、そのSNSを支えているのは写真です。視覚的に訴えるコンテンツから流行が広がり、やがて町の姿を形作っていく――そのような事例は全国各地で数多く生まれています。つまり写真は、地方創生に欠かせない重要な要素となっているのです。

一方で、写真を活用した取り組みには課題もあります。単なる一過性の事業ではなく、持続可能な形にするために押さえるべきポイントがいくつも存在します。本日は、その点についてお話ししていきたいと思います。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

「うちの町には何もない」は誤解 ― 写真が価値を再発見させる

まず、1枚の写真をご覧ください。私にとっても非常に思い入れのある一枚です。私は20数年前、大阪から鳥取県に移住しました。当時は『この町には何もない』と言われることが多く、地元の方からも『なぜこんな田舎に来たのか』と尋ねられることがありました。そんな中で、私にできることは写真を撮ることでした。地域を変えたい、価値を見つけたい――その思いで撮り始めたのが『ダイヤモンド大山』という現象です。

当初は誰もいなかったこの場所に、現在では自治体主催の観望会で2,300人もの人が集まるようになりました。その多くは地元の方々です。これは、自治体が『写真』をコンテンツとして活用し、人々を巻き込み、地域の価値を再発見させた好例だと思います。

地方創生というと、外向きのプロモーションに注力しがちですが、本当に重要なのは、地元の人々が『自分たちの町は素晴らしい』と胸を張って言えることです。地元が誇りを持ち、その声が外へ広がっていく。これこそが地方創生に欠かせないインナーブランディングであり、まだ十分に実現できていない自治体も多いのが現状です。

いまは言葉よりもビジュアルが流行を生む時代です。SNSでは1枚の写真が拡散され、そこから新しい言葉やトレンドが生まれます。かつては『記憶に残る旅』が良い旅とされましたが、いまは『記録に残せる旅』でなければ選ばれません。つまり、写真を通じて旅や地域の魅力を“記録”できるかどうかが鍵となっているのです。

では、写真を使った地域活性にはどのような形があるのか。私たちは大きく二つに分けられると考えています。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

撮影:Takashi Karaki

「地域活性の本質とは」 ― 住民が笑顔になり誇りを持てる町づくり

この六つの場所のうち、皆さんはいくつご存じでしょうか。ここは、たった一枚の写真が町を変えた事例です。そのきっかけとなった写真は私が撮影したものではありません。ある方が撮った一枚がSNSやメディアを通じて広まり、多くの観光客を呼び込みました。やがて宿や店ができ、町全体が変化していったのです。――写真には、それほど大きな力があります。

ここで改めて強調したいのは、地域活性には大きく二つの方向性があるという点です。ひとつは外に向けたプロモーション。もうひとつは地域内のインナーブランディングです。『映える』『バズる』という言葉が広がっていますが、外に向けた発信だけに注力するとどうなるでしょうか。最近もニュースになったように、観光客の急増による観光公害、渋滞、ゴミ、騒音といった問題が起こってしまいます。ですから自治体には、人が訪れても地域が混乱しないような仕組みづくりが求められます。観光地は自然に育つものではなく、しっかりと管理し受け皿を整えなければ、最終的に地元住民の反発を招き、観光施策を断念せざるを得なくなるリスクさえあるのです。

では、地域活性の本質とは何でしょうか。それは、地域の人々が笑顔になることです。『うちの町が元気になってよかった』と住民が胸を張って言えること。これこそが本来のゴールです。しかし外から人を呼ぶことだけに躍起になると、住民と観光施策の間に乖離が生じてしまいます。だからこそ、外への発信と同時に、地域内で誇りや共感を育てることが欠かせません。

私が地方でよく耳にするのが『うちの町には何もない』という言葉です。これは大きな誤解です。実際には“何もない”のではなく、自分たち自身がその価値を見失っているだけなのです。どの地域にも文化や歴史、自然があります。大切なのは、それを今の時代に合った形でデザインし直すことです。

そのためには、まず地元の方々が自分の町をもう一度見直す必要があります。おじいちゃんやおばあちゃんから聞いた昔話や風習、子どもの頃に遊んだ風景。そうした一つひとつに意味があり、価値があります。私たち外から来た人間は、どうしても“よそ者の視点”でしか見ることができません。だからこそ、地元の皆さんの声や知識こそが、次の施策を生み出す源泉になるのです。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

プロモーションは手段であり目的ではない ― 写真がつなぐ持続可能な地方創生

この事例は、地域の資源を改めて見直し、それを『写真』というフィルターを通して伝えた結果です。写真には、地域資源の価値に気づかせ、再発見させる力があります。だからこそ、いま地方創生において写真がこれほど重要視されているのです。

ただし注意すべきは、伝え方や方法を誤ると問題が起きてしまうという点です。そしてもう一つ重要なのは、地元の人々自身が価値に気づかなければ、私たち外部の人間は入り込めないということです。外からの視点で「これは素晴らしい」「これは価値がある」と伝えることはできます。しかし、その前に「こういう場所がある」「こういう歴史や文化がある」と教えていただかない限り、私たちだけで100%見つけ出すことはできません。だからこそ、地元の方々の知見が何よりも大切なのです。

よく自治体の方から「フォトコンテストを開催しています」「インフルエンサーを招いて発信しています」「定期的にイベントを実施しています」と伺います。もちろん、それ自体は重要ですが、あくまでプロモーションの一手段に過ぎず、本質的な地方創生の事業に直結していないケースが多いのが実情です。結果として「やって終わり」になってしまう例が圧倒的に多いのです。

プロモーションはゴールではありません。それは何のために行うのか。写真を通じてどこに繋げるのか。この問いを持たなければ、地方創生の成果には結びつきません。実際、私たちのもとに寄せられる相談の多くがこうした内容です。

――SNSをやっても人が来ない。「いいね」はつくが観光や移住には繋がらない。イベントを実施したが、その場限りで終わってしまう。フォトコンテストを開いたものの、集まった作品の活用方法が分からない。これらはすべて、プロモーションを“目的化”してしまった結果なのです。

しかし私は、ここに大きな希望を感じています。なぜなら最近は、「やること自体が目的」で終わるのではなく、「やった後にどう繋げるのか」という疑問を持つ自治体が確実に増えてきているからです。この“気づき”こそが、次のステップに進むための大きな一歩だと考えています。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

「やって終わり」にしない仕組みづくり ― ビジネスモデル構築が不可欠

観光産業として地域に必要なものは何か。誰が考え、誰が実行するのか。その責任と役割を明確にすることが重要です。求められるのは数値ではなく、継続性と地域への還元です。イベントを開催した後、それが地域にどのように残ったのか。SNSで発信した結果、継続的な来訪や関心につながっているのか。移住者やリピーターは増えているのか。こうした検証と循環づくりが欠かせません。

大事なのは総合的なビジョンです。たとえばフォトコンテストであれば、集まった作品をどのように地域の集客や発信に活かすのか。人が訪れたときに十分楽しんでもらえる場を整備できているか。地元住民に負担をかけずに管理できているか。こうした土台が必要になります。

また、仕組みを維持するには収益が不可欠です。ツアーやイベントの参加費収入、周辺飲食店への回遊、駐車場収益を人件費に充てるといった循環があれば、人を雇い、管理体制を整え、さらに地域経済を回すことができます。逆に、世界遺産の例のように「人は来るが滞在20分、消費ゼロ、残るのはゴミとトイレの負担」という状況では、地域にプラスは生まれません。だからこそ「滞在時間を延ばす仕組み」「町内で回遊してもらう仕組み」が必要なのです。国の観光施策もすでに「入り込み数」ではなく「客単価」へとシフトしています。いま問われているのは、地域にどれだけお金と価値を落としてもらえるかです。

ここで強調したいのは、これは行政だけでは成し得ないということです。行政はきっかけを作る役割を担いますが、最終的にビジネスモデルを回すのは民間事業者です。民間をどう巻き込み、主体的に動いてもらえるかが鍵となります。私たちのようなコンサルは、いずれ現場を離れます。大切なのは、いなくなった後に地域が自走できる状態になっているかどうかです。

残念ながら、コンサルはその部分まで考慮ができていないことが多いです。東京カメラ部は、自走を見越した仕組みづくりまでを支援しています。単に集客ができても、お金が地域に落ちず、ゴミやトイレの処理費用だけが増える――。町全体は賑わっているように見えても、住民が冷めているようでは地方創生とは呼べません。必要なのは、地元住民が主体的に関わり、応援したくなる仕組みです。そのためには収益、すなわちビジネスモデルの構築が欠かせません。

だからこそ、公と民の連携が必須です。自治体には自治体にしかできないことがあり、民間には民間にしかできないことがあります。自治体は許認可や調整、手続きの迅速化などを担い、民間は商品開発やサービス提供、現場での収益化を進める。これを丸投げではなく協働で行うことが重要です。こうした意識を持ち、行動を起こしている自治体は、すでに確実に成果を出し始めています。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

写真の可能性 ― 写真が生み出す価値は多様化している

東京カメラ部への相談内容も、年々レベルが上がってきています。以前は『何をすればよいかわからないのでプロモーションをお願いしたい』という依頼が中心でした。しかし最近では『仕組みを作りたいが人材が足りないので育成を支援してほしい』、さらには『地元にやる気のある民間事業者はいるが、外部の力で後押ししてほしい』といった相談が増えています。つまり地方は、これから競争の時代に入り、残る自治体と取り残される自治体が明確に分かれていくのです。

写真の役割も、単なる観光風景の紹介にとどまりません。例えばふるさと納税。返礼品競争が激化する中で、地元事業者の利益が圧迫されています。ここで必要になるのがブランディングです。単なる返礼品の写真ではなく、事業者を魅力的に撮影し、生産や製造の背景をストーリーとして伝える。まるで一本の映画のように「物語」として発信することでファンが生まれます。結果として、1,000円の価値しかなかったものが、2,000円、4,000円と選ばれるようになる。写真にはその付加価値を生み出す力があるのです。

では、なぜ東京カメラ部がその役割を担えるのか。写真家は絶景を見抜く目を持ち、「どう撮れば映えるのか」を理解し、構図や仕掛けを組み立てる力を備えています。風景そのものが美しいだけでは、人はもはや動きません。その景色にどんな付加価値を与え、どうデザインするかが勝負の時代です。東京カメラ部は、その写真家の力を地域デザインに活かしています。

私たちは単なる写真家の集まりではありません。東京カメラ部は、日本最大級の写真コミュニティです。フォロワー数は575万人以上、累計投稿数は約7,100万枚に上ります。* 全国から寄せられる写真と数値データが集まることで、私たちは独自のマーケティングを行っています。たとえば「どの場所がどれだけ撮られているか」「どの季節に人気があるか」「どの被写体が支持されているか」。こうしたデータを検証することで、自治体さえ気づいていない人気スポットを発見できるのです。

ここで重要なのは、一般的な観光地ランキングと、実際に写真が撮られている場所ランキングはまったく異なるということです。「人気観光地=写真が撮られている場所」ではありません。むしろ「写真に撮られている場所こそ、今後発展の可能性がある場所」なのです。

東京カメラ部は、日本で最も応募数の多いフォトコンテストを運営しており、47都道府県すべてから応募があります。その数を分析することで、日本の撮影者がどこに集まっているのかが明らかになります。たとえば全国ランキングを出すと、上位には意外な県が登場します。2位は長野県。観光地ランキングではそれほど上位に入らないものの、写真家にとっては「被写体の宝庫」なのです。一方、鳥取県は全国41位と下位でした。しかし、鳥取県内で「どの場所が撮られているのか」を見ると、地元の方も驚くような結果が出ています。

*2025年9月時点

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

こちらが鳥取県内の自治体ごとのランキングです。1位は鳥取市。やはり鳥取砂丘があるためです。2位が米子市、続いて大山町、日野町、伯耆町と続きます。黄色で示しているのは、私が住んでいる伯耆町です。

このランキングでお伝えしたいのは、『写真に撮られているかどうかが、その町の観光力に直結している』ということです。写真に撮られていない=SNSで共有されない=思い出が記録されない。結果として観光地としての可能性が下がってしまいます。だからこそ、この“数字”を上げるための施策が必要になるのです。

例えば伯耆町で多く撮影されているのは、植田正治写真美術館や大山まきばみるくの里などです。データを見れば、どこが「撮られているのか」「撮られていないのか」が一目で分かります。もし代表的な観光地があるにもかかわらず数字が伸びていないのであれば、それは“撮られていない”ということ。必要なのは『撮られる仕掛け』を作ることです。記憶に残るだけでは不十分で、記録として残せる体験を用意する必要があります。いまや旅の思い出はSNSで共有される時代だからです。

分かりやすい事例が香川県の『父母ヶ浜』です。2015年に東京カメラ部に投稿された写真はわずか12枚。それが昨年は2,124枚にまで増え、約200倍の伸びを示しました。タグなし投稿まで含めれば、さらに何十倍もの写真が撮られているはずです。その結果、何もなかった浜辺にカフェや宿ができ、地元のボランティアカメラマンまで誕生しました。

同様に、四国の下灘駅、茨城県のひたち海浜公園、熊本県の鍋ヶ滝も、写真がきっかけでバズり、地域を代表する観光地へと成長しています。私たちが重視しているのは、こうした“数字を根拠にした説明”です。

自治体の方々とお話ししていると、『気持ちは分かるけれど上司を説得できない』という声をよく聞きます。しかし、このようなデータを町ごとに置き換えて示すと、『これなら上司を説得できる』『これなら町長に説明できる』と空気が一変するのです。

このデータを提示できるのは東京カメラ部だけです。なぜなら、私たちは日本最大の写真投稿コミュニティを運営し、日本で最も応募数の多いフォトコンテストを開催しているからです。その強みを活かし、データに基づいた施策提案から風景デザイン、人材育成まで一貫して支援できるのです。

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事例紹介 ― 鳥取県・大山町
大山星空で遊ぶツアー

ここからは、実際に取り組んできた事例をご紹介します。まずは私の地元・鳥取県です。鳥取県は『星取県』として星空を前面に打ち出したプロモーションを行っていましたが、当初は実態が伴っていませんでした。そこで県から私個人が依頼を受け、実際にツアーを企画することになったのです。

星空をテーマにした観察会や撮影会は全国に数多く存在します。しかし、それを真似しても差別化はできません。星空は田舎に行けばどこでも美しいからです。だからこそ、オンリーワンで質の高い体験を生み出さなければ、人は訪れず、リピーターも生まれません。

そこで私たちが作ったのは『見るツアー』『撮るツアー』ではなく、『撮られるツアー』でした。満天の星空に感動しても、スマホではうまく撮れない。しかし言葉だけでは感動は伝わりません。そこで参加者をモデルに見立て、写真家が星空とともに参加者を撮影してあげる仕組みを導入しました。

ツアーは1人5,000円でスタートしましたが、いまでは予約困難なほどの人気となっています。さらに特徴的なのは、参加者の半数近くが香港から訪れていることです。鳥取県の米子空港には香港直行便があり、香港は東京以上に明るく星が見えない都市環境です。そのため『星への憧れ』が非常に強く、香港のインフルエンサーが体験を発信したことで、わざわざ飛行機でこのツアーだけを受けに来る観光客が増えました。現在は翻訳機を使いながらガイドが対応しています。

このツアーは、当初は私自身がガイドを務めて始めましたが、いまは若い写真家に引き継がれています。つまり、収益を生んだだけでなく、人材育成にもつながったのです。

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さらに、環境省からの依頼を受けて、環境省と東京カメラ部と私と一般社団法人 大山観光局で、第2・第3のツアーを企画しました。例えば冬場のツアー。雪原の中の特別な場所へ安全に案内し、満天の星を背景に撮影して差し上げる。シュラフに包まれて温かい高級スープを味わう。こうしたラグジュアリーな体験を22,000円という高単価で提供しています。これもすぐに予約が埋まります。ここから言えることは、良いものを作れば安売り競争に巻き込まれる必要はない、ということです。地方が安売りをしてはいけない。価値のある体験をきちんとデザインすれば、人は価格ではなく体験にお金を払ってくれます。

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事例紹介 ― 鳥取県・大山町
大山の大献灯(和傘灯り)

鳥取県大山町の大山寺では、私が仲間と大山観光局と一緒に夜の観光を生み出すために和傘ライトアップを仕掛けました。

登山客は来るものの宿泊客が少ないという課題をもとに、ナイトタイムコンテンツを作ったのです。これはライトアップに使われている和傘の職人の育成・自立支援にもつながります。1本5万円の本物の和傘を140本購入しお堂をライトアップ。そしてカメラだけでなく『スマホでも手軽に美しく撮れる』設計にしたところ、SNSで拡散され認知が広まり、人が訪れるようになりました。和傘職人は弟子を抱えるまでに成長し有名人の傘も制作するまでになりました。

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事例紹介 ― 北海道・別海町
氷平線ウォーク

北海道の別海町は酪農日本一ですが、観光は知床や釧路に遅れを取っていました。また、ここには野付半島という野生動物の聖地と呼ばれる場所があり、動物を撮影しにカメラマンは多く訪れるものの、観光客は来ないという課題がありました。なんとかお金を落としてほしいと考え、私が考えたのが『氷平線ウォーク』です。この場所は冬になるとー20℃になります。そのため通常であれば冬の観光客はゼロ。しかし、内海が凍り『海の上を歩ける』特別な現象を発見したため、その上を歩くというこの土地ならではの特別な体験を体験に盛り込みました。かつ遠近法を活かした『トリックフォト』をカメラマンがレクチャーし、ツアー参加者同士で写真を撮り合える構成にしました。

その結果、ツアー中に撮った写真がSNSで発信され話題化し、北海道を代表する冬のアクティビティにまで成長しました。こちらは当時の観光庁事業で『日本一の事例』に認定されました。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

このツアーを作ったのは10年前です。昨年度、それをさらに進化させた夕景のツアーと星空のツアーを私が別海町さんと作りました。海の上で星を眺めながら、その姿を撮ってもらう。氷の上で走ってみたり、遊んでみたり、ジャンプをしてみたり。そうしたツアーを組みました。こちらのツアーも10,000円~15,000円と高単価です。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

イベントは『一過性の賑わい』ではなく、仕組みにすることが大切です。高単価でも『体験の独自性』と『ストーリー性』があれば人は集まります。

氷平線ウォークは冬場の二ヶ月の開催で4,000人を集客し、集客ゼロから大規模な収益モデルになりました。氷平線ウォークの事例では、ツアーが定着したことで年間2,000万円が地域に落ちるようになりました。その結果、地元でガイドを雇用できるようになり、現在は5〜7名のガイドが移住してここで暮らし、ガイド業だけで生計を立てています。若い人たちが働きたいと思える仕事を生み出すことで、地域に新しい担い手が増えていくのです。

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事例紹介 ― 岐阜県・山県市
東光寺 秋のライトアップ

そして現在進行形で私が山県市さんと取り組んでいるのが、岐阜県山県市の東光寺です。若い住職夫妻が管理するこのお寺は檀家の減少や屋根修繕の課題を抱えていました。そこに、私はドウダンツツジの紅葉を活かしたライトアップ企画を山県市さんに提案しました。茶室に反射テーブルを置き、来場者を主役にしてスマホで撮影。1年目は100人程度でしたが、東光寺のみなさんの努力と、山県市の支援のお陰で、昨年はわずか5日間で2,500人を集客しました。SNSで拡散され、待ち時間が出るほどの人気に育ったのです。

一枚の写真が皆さんの”まち”を変える!そのために必要な意識と施策

さらに、地元の方々が資金を出し合い、自主運営する仕組みを確立しました。飲食店とのコラボも生まれ、観光客が地域の店舗へ回遊する流れができています。

私たちの役割は、単なるイベント運営ではなく、企画と仕組みを作り、3年後には地元に渡すこと。実際にこの東光寺も、今は完全に地元主導で運営されています。ここでお伝えしたかったのは、写真はプロモーションのための道具ではなく、地域産業を育てるための起点になり得る、ということです。星空ツアー、和傘ライトアップ、氷平線ウォーク、そして東光寺ライトアップ。これら四つの事例は、いずれも地元の人々の力で継続し、いまも動き続けています。皆さんの町でも必ず実現できます。重要なのは丸投げするのではなく、自分たちが何をやるかを決め、民間を巻き込みながら仕組みを作ることです。

現在、私は東京カメラ部にてこうした地方創生の取り組みを担当しています。もし、これらの取り組みに興味をもっていただけるようでしたら、ぜひ東京カメラ部にお声がけください。本日はありがとうございました。


東京カメラ部では、地域の魅力を発信するプロモーションやコンテンツ造成など地域活性化に向けた長期的な支援に力を入れていきます。写真を通じた地域活性化のご相談はぜひお問い合わせください。

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