トークショーレポート
Talk Show Report
2024年9月20日(金)~9月23日(月・祝)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2024写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。
9月22日(日)に行われたOMデジタルソリューションズ株式会社のトークショーでは、東京カメラ部10選2012・千田智康氏、東京カメラ部10選2014・藤原嘉騎氏、東京カメラ部10選2019・野瀬大樹氏、OMデジタルソリューションズCXマーケティング・野口知修氏にご登壇いただき、「OM SYSTEM×東京カメラ部10選が生み出す作品表現」というテーマでお話しいただきました。
野口「みなさまこんにちは。ただいまよりトークステージをスタートさせていただきます。OM SYSTEMと東京カメラ部10選が生み出す作品表現、というトークテーマで進めさせていただきます。わたくしはOMデジタルソリューションズから参りました野口と申します。本日はよろしくお願いいたします。まず、我々OMデジタルソリューションズですが、2021年にオリンパスの映像部門が独立して誕生した会社でございます。セミオリンパスI型が誕生した1936年からの歴史があり、88年続くカメラメーカーです。OMデジタルソリューションズは、OM SYSTEMブランドの名のもと、コンパクトで軽く、タフなカメラを作り続けております。またこの製品特徴を生かし、アウトドアシーンにおいて、どこにでも持ち歩け、思ったままに撮れることを実現しております。そして我々はカメラやレンズだけではございません。双眼鏡やICレコーダーも販売しておりまして、特にICレコーダーはBCNデータで9年連続販売数量ナンバーワンです。さて、本日のステージにご登壇いただくみなさまをご紹介していきます。おひとり目は千田智康さんです」
野口「千田さんは東京カメラ部10選 2012に選出されております。そしてOM SYSTEMアンバサダーとしても活躍されております。千田さんは岩手県水沢市、現在の奥州市のご出身、現在は横浜市在住でいらっしゃいます。スナップやポートレートを中心に撮影されており、独自の目線でアーティスティックに、そしてドラマチックに切り取り、誰もがストーリーを思い描いて楽しめるような写真表現をライフワークのひとつとして活動しております」
野口「藤原嘉騎さんです。東京カメラ10選 2014に選出されております。藤原さんは元プロスノーボーダーという異色の経歴を持ち、またアメリカのウォルトディズニー社やナショナルジオグラフィック社にサプライヤー登録されているほか、国内外問わず多くの賞を受賞されております」
野口「最後に野瀬大樹さんです。東京カメラ10選 2019に選出されております。2015年頃から一眼レフとスマートフォンを用いた撮影と編集を独学で学び、2台体制で写真家としての活動をスタートされました。そこで培った編集技術や撮影スタイルを武器に、国内外の大手企業、また観光庁の撮影など幅広いジャンルで活躍されています」
千田「ここから進行を務めさせていただきます。それではわたしたち3人の代表作をお見せしていきたいと思います。まずわたしから。こちらは東京カメラ部2014写真展で展示した1枚です。これが同時オリンパスさんの社長の目に止まりまして、それまでもOM SYSTEMはブレない良い会社だなというイメージを持っていましたが、実際にOM SYSYEMのカメラに触れるきっかけとなった1枚です」
千田「こちらも東京カメラ部写真展で展示した1枚。わたしらしい構図。対角線を使って階段の下にサラリーマンが歩いており、ストーリー性がある点が気に入っています。続いて藤原さんの代表作です」
藤原「こちらは佐賀インターナショナルバルーンフェスタの写真で、撮影したのは10年ほど前。この写真で2014年の東京カメラ部10選に選んでもらいました。いまこの場所は開催前日から場所取りをするくらいの激戦区の撮影地ですが、これを撮ったときは、写真を撮っている人は僕しかいなくて、本当にこの構図にバルーン飛んでくるかもわからず、不安になりながら撮ったのを覚えています。この1枚がきっかけでさまざまな仕事が来るようになりまして、写真1枚の力はすごいなと感じましたね。またバルーンフェスタを主催している協会の会長さんとすごく仲良くなりまして、日本各地のバルーンフェスタでバルーンに乗せてもらうようになったりしました。この1枚でバルーンフェスタには何億円もの経済効果がもたらされたらしいです」
千田「バルーン写真の先駆者ですね。では次にいきます」
藤原「カメラメーカーさん新機種のカタログ撮影の依頼を受けて、モンゴルで撮りました。モンゴルでもっとも西の方で、カザフスタンとの国境付近の場所。結構なチームを組んでいったんですが、日本語からカザフ語への通訳がいなくて、日本語からモンゴル語、モンゴル語からロシア語、ロシア語からカザフ語と、3人もの通訳を連れていきまして、本当に僕の言葉は通じているのかなと(笑)。ちょっとした伝言ゲームで常にやり取りしていたので大変でしたが、すごくおもしろかったです。電気や電波もないので、コックさんも水を大量に持っていっていて、大がかりな遠足のような撮影でした。そんな楽しいことが写真1枚から経験できるようになったということですね」
千田「思い出深い1枚ということですね。では野瀬さんの代表作をお願いします」
野瀬「これは静岡県牛代(うしんしろ)の『みずめ桜』という、観たことがある方も多いと思いますが、僕はこの写真をInstagramのオフィシャルアカウントに選んでいただきました。これまで3回選んでいただいているうちの1枚ですね。この1枚がきっかけとなり世界で知ってくださる方増えました。また、東京カメラ部10選 2019にもなれた写真なので、僕の中ではとても大切な写真です」
野瀬「こちらも静岡県で小國神社という場所です。朝、条件が良いと光が射し込みます。ここにモデルさんに立ってもらう方も多いと思うんですが、当時は着物を着て、和傘をさし、日本の和を象徴するような写真を撮っている方はあまりなかったような気がしたので、やりたいなと思って夜中から着物の着付けをして撮ったという、大変苦労した写真になります」
千田「光も素晴らしいですし、左右の緑と赤の色の対称も見事ですよね。ありがとうございます」
千田「では、これからOM SYSTEMのカメラで撮影された作例をご紹介していきたいと思います。まずみなさん、OM SYSTEMにどんなイメージをお持ちですか?OLYMPUS PENからの連想で宮﨑あおいさんだという方も多いかもしれません。彼女は10年にわたりCMに出演されており、PENのシンボル的な存在ではないでしょうか。そして、OM SYSTEMといえば強力な手ブレ補正やアートフィルター、そしてなんといってもこのかわいいデザインですね。小型軽量で女性にも向くカメラです。いままでに持ったことがなくても、ご興味を持たれましたらぜひブースに立ち寄っていただければと思います。ちなみに、いま着ているTシャツもフィルム時代のOLYMPUS PENがプリントされています。まずわたしの作品からご紹介します」
千田「本日、OM SYSTEMのブースの壁面に写真2枚を展示していますが、2枚ともこのPEN E-P7で撮っています。また、いまからご紹介する写真もPEN E-P7で撮っています。1枚目のこちらは、英才教育と言いますか、息子とともに撮影することがありまして、これも息子をラーメンで釣って連れ出して、食べた後に良い影を見つけたので撮った写真です。いまモニターに表示している画面の右下に色のチャートが出ていますが、これは『カラープロファイル』と言い、自分で色を作ることができる機能です。このときは黄色やオレンジがちょっと強め、それ以外はフラットな感じで撮っています」
千田「これはなんてことない写真に見えますけども、ちょうど真ん中に映り込みがあります。これは電車の向こう側にいる人の顔かというとそうではなく、ラーメンで釣られた息子の顔が映り込んでいるんですね」
千田「OM SYSTEMといえばアートフィルターやカラープロファイルというものに、スナップを撮られる方は注目されると思いますが、こちらもカラープロファイルコントロールを使った写真です。レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0というもので、とても小さくて軽いです。ストーリー性を大事に撮るのが作風で、電車の奥に女性が立っていて、手前側に男性はなんだかうなだれているという感じがありますよね。勝手に妄想というかイメージを膨らませて撮った1枚です」
千田「真夏の昭和記念公園ですね。いまOM SYSTEMのブランドメッセージには、「冒険」というものがあり、『千田さん、少し自然が入ったスナップも撮ってみてください』とお題をもらって撮った1枚です。どこが自然だよと思うかもしれないんですけども、私としては空と雲と葉っぱが見えていて、採り入れたつもりです。そして、エスカレーターの奥にモデルさんに立っていただいています」
千田「30mmのマクロレンズ、35mm判換算で60mm相当のレンズで撮っています。これは新宿にコクーンタワーというデザイン性の高いビルがあり、そのビルがすべての水玉に写り込んでいるんですね。エレベーター乗り場の屋根がガラスで、ガラスにレンズを向けて撮った写真です。OM SYSTEMのカメラは解像感が優れていますよね。水玉の中のビルが鮮明に写っていると思います。粒子を少し加えて立体感を出し、モノクロプロファイルで撮影をしています。」
千田「こちらも新宿で撮ったスナップなんですけども、なにを気にしたかというと西日です。すごくきれいだったので絞って撮っています。対角線を使い、少し斜めになっている点はバランス悪いかなと思う方もいると思いますが、西日の反射や人をどう入れるかを自分なりに構図を決めて撮った1枚です。これも粒状を加えていて、立体感を演出しています」
千田「OM SYSTEMのブースに展示している1枚。蚊に刺されて大変だった撮影でした。犬の遊具に乗っているところを撮るだけでは記念写真になってつまらないので、わたしはよく何か越しに撮ることが多く、これもそのジャングルジム越しに撮っています。カラープロファイルコントロールを使っていて、黄色などを落として撮っています」
千田「とても暑い日でした。みなさんにオススメしたいのは真夏の昭和記念公園です。日陰もなく辛いんですけれど誰もいません。見てください、草原に誰もいないんですよね。独り占めできました」
千田「こちらもカラープロファイルコントロールで撮った写真で、なんてことない夕景に見えますが、奥に実は釣り人が立っているんですね。自分が動いて光のところに釣り人が入るように撮った1枚です。カラープロファイルコントロールで赤みを強めにしています」
千田「これもカラープロファイルコントロールなんですけども、チャート見てわかる通り赤みを強くして強調しています。JPEG撮って出しの1枚ですね。ボンネット使ったのはボンネットに映り込んでいる夕焼けを入れることで、夕焼けを倍にしたいなと。倍加効果というものですね」
藤原「カラープロファイルの赤の部分がとても上げられていますが、ここまで上げても色飽和などは起こさないのですか?」
千田「起きないですね。そこはカメラの中でやってくれるみたいです。ですからマックスにしても問題ないです」
千田「これでわたしのパートはおしまいです。続いて野瀬さんです。野瀬さんはOM-1 Mark IIと、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROという2本のレンズをお使いです」
野瀬「これは『みなとみらいスマートフェスティバル』での花火大会です。撮影には実は三脚を使っていません。OM SYSTEMとは別のカメラは三脚とレリーズを使っていて、OM-1 Mark IIは片手で撮っています。シャッターは2.5秒ですね。手ブレ補正がとても強い。僕は千田さんや藤原さんと違って、OM SYSTEMのカメラを初めて使わせていただきました。ですから、リアルな感想をみなさんにお伝えできるかなと思っています。このときは、正直無理だろうなと思いながら長秒でレリーズしましたが、まさか片手でこんなにブレもせず撮れるとは思っておらず、とてもビックリした1枚です。」
千田「すごいですね、しっかり解像してます」
野瀬「他の写真も同じような構図ですが、30分ほどで2万発が打ち上がる花火大会ですから、かなりのスピード感があります。片手でずっと撮っていて、撮るたびに驚きましたし、一度撮影画像を確認したときはリアルに声が出ました。いまは静かにお話していますが、現場ではうおーと叫んでいましたね」
千田「短時間のあいだに何発も上がるような花火大会でも手持ち撮影で臨めるのですね」
野瀬「これはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROの望遠端で撮っているので、換算200mm相当ということになります。ズームをしても手ブレ補正は効くのかが気になったのですが、何の問題もなかったですね。シャッターは3.2秒です。これも片手。そんな撮り方でも8割以上はブレなく撮れていましたね」
千田「続いて藤原さんの作品です。よろしくお願いします」
藤原「天の川です。野瀬さんは片手で3.2秒ということでしたが、僕は両手ではあるものの、このデータ見てください、10秒です10秒! 三脚なしでとうとう天の川がここまで撮れるようになりました」
野瀬「どういう感じで撮っているんですか?」
藤原「僕は両脇を締めて息を止めて撮ります。10秒はふつうの10秒よりも緊張して大変でしたが、1枚目で撮れました。慣れていなくても3回くらいで撮れると思いますし、それでもダメならしゃがんでガッチリと両脇を固めればいけると思います」
千田「次は再び野瀬さんですね」
野瀬「これは静岡県の大室山です。写真が目的ではなくて観光で行きました。頂上にはロープウェイで上がれるんですが、そういうときでも小型機のOM-1 Mark IIは持ち歩きやすいので、遊びのついでに写真が撮れるというメリットを感じました。」
千田「登山などでも小型軽量ですし、防塵防滴構造なのでいいですよね」
野瀬「25mmF1.2、フルサイズ換算で50mm相当の標準レンズで撮影したものです。この後の写真は、全て台風の日の撮影で、かなりの土砂降りの中で撮ったものになります」
野瀬「写真ではわかりづらいと思うんですが、かなり雨が降っている状態の状況です。しっとり感を出せるといいなと森の中に入って撮っています」
野瀬「すべて三脚を使わずに撮っています。花火の撮影をしたときに片手で撮れるということはわかっていたので、片方の手は空いているのですが、ローアングルなども遊べると思って片手で撮影しています」
千田「それでは続いて藤原さんです。さまざまな機能を使って撮影していただいています」
藤原「左下の石を見てもらったらわかりますが、僕が撮影した日も雨が降っていました。滝壺の中央の左側に水滴が写っていますが、水滴がついても敢えてそのままにして雨の中で撮っている感じにしています。これは『手持ちハイレゾ』を使っているので、こんなに小さなカメラですが約5000万画素で撮影されています」
藤原「こちらは作品とかではない感じの写真ですが、レンズに水滴がいっぱい付いて画面いっぱいに写りまくっています。雨粒も見えていてどれだけ雨が降っているかがわかります。ふつうのカメラの場合、雨を気にして傘をさしながら撮影したり、レインカバーを付けて撮影したりすると思うんですが、このときはカメラ丸出しで撮っています」
藤原「これを撮ったときの動画をお見せします。はい、撮影時こんな感じです。これだけ雨が降っていても使えるんですよ。自分だけレインコートを着ておけば大丈夫。僕は雨を活かした作品は撮れませんでしたが、素晴らしい雨の作品が撮れると思うので、みなさんに冒険してほしいと思っています。あと、僕個人の使い方ですが、池などがあった場合、カメラの一部を浸水するくらいの位置で撮ります。それでも壊れません。さすがに3秒くらいを限界にしていますが、大丈夫ですね。Instagramには水に入れて撮った蓮の花の写真なども公開しているので見ていただければと思います」
千田「なかなかメーカーの人は水に突っ込んで撮るなどということは言えないですよね。藤原さんの経験値からくる撮影方法です」
藤原「あと、カメラがドロドロになっても水で洗うことができます。こちらはメーカーも正式にアナウンスしていることで、そのくらいしっかりと試験をおこない、防塵防滴性能を謳っているのがOM SYSTEMです」
千田「続いては藤原さんの作品です。カメラはOM-1 Mark II、レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8の5本をお使いになっています」
藤原「これは『プロキャプチャー』という機能を使って撮影をしています。プロキャプチャーというのは、鳥を撮影する人などがよく使う機能です。鳥って急に飛び立つじゃないですか。いつ飛ぶかわからないときにプロキャプチャーにしておけば、まず飛ぶ前にシャッターボタンを半押しして鳥を取り込んでおきます。そして、その後は飛び立ったときに普通に反応してシャッターを押せば、飛び立つ前に遡って記録されているんです。飛ぶ瞬間を撮ろうと必死になっていなくても、飛び去ったあとにゆっくりとシャッターを押せば過去に戻れるという便利な機能。僕はふだん風景メインなので電車が来る瞬間は絶対に撮れないと思ったのでプロキャプチャーに設定して撮りました。僕みたいな動きものが下手な人にはありがたいですよね。そしてJPEGではなくきちんとRAWで記録してくれます」
千田「これは最新機種から搭載ということではなく、もう何年も前から搭載されています。電車や鳥を撮るときには便利ですね」
藤原「こちらは動画ですが、さきほどのプロキャプチャーで撮られた静止画をつなぎ合わせたものなんですが、このように見ることもできるので、自分が好きな電車の位置のものを選ぶことができます」
藤原「こちらは『ライブGND』という機能を使って撮影しています。このような風景写真の場合、島を適正露出で見せようとすると空が真っ白になってしまうんですよね。それを回避するために通常はレンズにハーフNDフィルターを付けて空の白飛びを回避する必要があったんですが、OM-1 Mark IIからカメラにその機能が付きました。GND段数2、4、8から選ぶことができ、グラデーションの角度はもちろん、フィルタータイプも3段階から選べます」
藤原「動画でどのように効果が出るかをお見せしますが、ライブGNDをかけるとこのように変化します。グラデーションのかかり具合も確認できて、角度もダイヤルで自由に変えられるので、柔軟に撮影時の環境に合わせられます。物理的なフィルターの場合は交換や調整に時間がかかりますが、朝夕の時間帯は数秒が大切で一瞬で表情が変わるので、ダイヤル操作だけで変えられるのはとても便利です」
千田「荷物も減りますし、時短にもなりますね」
藤原「『ライブND』という減光するためのフィルターの効果も搭載されています。ND128まで選ぶことができ、ND128で60 秒で撮影することで波の揺らぎをフラットにすることができます」
藤原「これが効果をその場で確認することができる『ライブND』という機能です。リアルタイムで上のような画面が見られるのはとてもおもしろいです。この画面を見るのが気持ち良すぎて撮り忘れることがあるくらい(笑)。NDの濃度もダイヤルで設定できるので本当に時短になります」
藤原「『ライブコンポジット』という機能でホタルを撮りました。20秒のシャッタースピードでホタルを撮る場合、相当な数のホタルが飛んでないとこのようには写りませんが、ライブコンポジットを20秒で設定すると、シャッターを20秒の間隔でずっと切り続けて、カメラの中で合成をしてホタルの光りだけを積み重ねていってくれます。つまり、何枚もの写真をPhotoshopで比較明合成をしなくてもよくて、その場でホタルだけがどのくらい写っているかがわかるんです」
千田「ホタル以外にも使える機能ですよね」
藤原「ふつうは星の撮影などで使うのが一般的ですね。星を光跡として撮るような撮影では、あまり経験がないとどのくらいの枚数を撮ればグルグルと円になるのかわからないですが、ライブコンポジットを使えば、シャッターボタンを押すだけでモニターに星が繋がっていく様子がわかるのでとても便利ですね」
千田「交通量があれば車の光跡の撮影などにも使えますね」
藤原「次は昼間の写真ですが、シャッタースピードの設定は1/2秒が明るさ的に限界でしたが、森の奥の川に浮かぶ落ち葉がどんな動きをしているかというのを、ライブコンポジットを使って撮影をしています。そして、どのくらいのボリュームで落ち葉が合成されていけばいいかをディスプレイを見ながら判断できるので、自分のイメージに近いものが撮影できます。これから秋の季節、落ち葉を撮るのが楽しみです」
野瀬「個性的な写真が撮れるのでおもしろいですね」
藤原「続いては『三脚ハイレゾ』という機能で撮影しました。三脚を使うことで約8000万画素になります。ハイレゾショットは通常操作が難しいというイメージがありますが、この赤いRECボタンをピッと押すだけでハイレゾショットのモードになります。今日はこの写真を半分にクロップしたもの、つまり4000万画素ほどの写真を展示していますが、それでも素晴らしい解像度だと思います。その隣には約8000万画素の木々の写真も展示していますので見ていただければうれしいです」
藤原「植物の茎をよく見ると羽毛のようなものが生えていると思いますが、これは35mm換算で180mm相当のマクロレンズで撮影しています。産毛のついている水滴も写っていますが、この写真は『深度合成』という機能を使っていて、手前から奥までピント位置を変えながら撮影したものを、カメラの中で合成して1枚の写真にしています。ふつうは絞り込んでもここまで被写界深度は深くならないんです。それだとおもしろくないので深度合成を使いました」
藤原「これでカメラの説明は終わります。たくさんの機能があるので、撮るときに何を使うか迷ってしまいます。ぜひ野瀬さんもこれからOM SYSTEMのカメラを使ってほしいですね」
野瀬「僕はお借りした期間が短かったので試せなかった機能も多いですが、藤原さんにさまざまな機能の効果を見せていただき、ぜひ試してみたいと思いました」
藤原「編集ソフトを使えない人、初めてカメラをもつような人もこのような写真を撮ることができると思います」
千田「では、わたしたち3人から今後OM SYSTEMへ期待することを最後にそれぞれ話していきましょう。まずわたしですね。こちらはPEN E-P7という10万円前後で買えるカメラですが、昨今の値上がりでカメラは20万円以上するのが当たり前となっている中、このような手頃なカメラはなかなかないと思います。ですから、強力なOM SYSTEMの手ブレ補正と同じく、ブレない姿勢でカメラを作り続けていってほしいと願っています」
藤原「僕は、単焦点の明るい広角レンズで星を撮りたいので発売してほしいです。最近、OM SYSTEMからはE-M1 Mark III ASTROという天体撮影用のカメラが発売されたんですね。僕はいつもM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0で撮っていますが、換算で20mm、欲張らないので開放F1.8のレンズが欲しいです。お願いします!」
野瀬「僕は背面液晶モニターを、現在のバリアングル以上に縦横自由に可動することができるものがあればいいなと思っています。あと、千田さんがお持ちのPEN E-P7くらいのサイズで、パンケーキ一体型の機種があるとうれしいなと思いました。ふつうのプライベートの遊びにもシャッターチャンスはあるので、そういうときにポケットに忍ばせておけるような機種があればいいなと」
野口「みなさま、ありがとうございました。OM SYSTEMブースでは手ブレ補正体験などもできますので、ぜひお越しください」
藤原「手ブレ補正のチャレンジもありまして、僕は先ほど13秒チャレンジに失敗しましたが、その日のトップの方にはOM SYSTEMカレーがもらえるそうです。ぜひチャレンジしてみてください」
野口「弊社のSNSにご登録いただきますと、かわいらしいクリップをプレゼントしておりますので、ぜひブースにお越しください。もちろんお三方の作品も展示させていただいております。以上をもちまして、トークショーを終了させていただきます、ご清聴ありがとうございました」
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