トークショーレポート
Talk Show Report
2024年9月20日(金)~9月23日(月・祝)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2024写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。
9月22日(日)に行われた株式会社ニコンイメージングジャパンのトークショーでは、東京カメラ部10選U-22のtomosaki氏、カノン氏、武村拓海氏、横川博樹氏、彩氏にご登壇いただき、「東京カメラ部10選U-22トークショー ~次世代クリエイターたちの挑戦~」というテーマでお話しいただきました。
tomosaki「本日MCを務めますtomosakiと申します。2000年生まれ、福井県出身。現在は福井県と関東の2拠点を中心に活動しております。青春や物語を感じるシーンをテーマに撮影しておりまして、去年よりフリーランスフォトグラファーとして活動しております。2020年、東京カメラ部10選U-22フォトコンテストに入選しました。今回ご登壇いただくのは東京カメラ部で人気のフォトグラファーであり、東京カメラ部10選U-22のカノンさん、武村拓海さん、横川博樹さん、彩さんです。ではカノンさんから簡単にご挨拶を頂戴できればと思います」
カノン「大阪府出身、23歳のカノンです。2022年の東京カメラ部10選U-22に選出していただきました。社会人2年目でフォトスタジオに勤務しながら、休日に作品を撮るような生活をしております。本日はよろしくお願いします」
武村「京都で大学院生をしております武村拓海です。山岳の風景写真を中心にさまざまな風景を取っています。場所に縛られない写真、時間の変化を写した写真のふたつの点を掲げて撮影しています。本日はよろしくお願いします」
横川「主にInstagramをメインに「ひろ」という名前で活動しています、横川博樹と申します。出身は富山県、いまは東京でひとり暮らしをしています。日常風景の中にあるものや風景写真を撮っています。よろしくお願いします」
彩「2002年生まれ、京都府出身の彩と申します。淡くて儚い青の世界観を中心にポートレートや風景、小物撮影など多くのジャンルで撮影しています。よろしくお願いいたします」
tomosaki「みなさま、本日はよろしくお願いします。ここで今回のトークショーのタイトルにもなっている東京カメラ10選U-22について簡単にご説明させていただきます。若手クリエイターの表現活動の場を広げるべく、ニコンイメージングジャパンと東京カメラ部のタイアップ企画として、次世代を担う若者が撮影する作品をテーマにフォトコンテストを2020年より開催しております。22歳以下、もしくは20代の学生限定としており、ここで選ばれた方を東京カメラ10選U-22として認定しています。今日登壇しているのはわたし含めてそのコンテストで認定されたクリエイターです。それでは。みなさんが普段どのような写真を撮影されているかを伺いたいと思います。撮影ジャンル、そのジャンルを撮りはじめたきっかけなども教えてください。まずわたしの作品を紹介しつつ、お話させていただけたらと思います」
Z5 + NIKKOR Z 24-70mm/4-6.3 VR
tomosaki「わたしは福井県が地元で、いつも福井で撮影しているのですが、去年5月ぐらいにめちゃくちゃ大きい入道雲が出て、この写真を撮りました。今年も僕はずっと入道雲を追いかけていましたが、この日を超える入道雲はなく、僕の中でこの写真はすごく好きな1枚です。なぜかと言うと、撮影をした時期まで僕は看護師をしていて、フリーランスのフォトグラファーになると決めてすぐにこの雲と出会ったんです。いまからやってやるぜ、みたいな気持ちを込めて撮った写真で、ちょうど24-70mmのレンズも手元に持っていたので撮ることができました。撮影ジャンルはこのように人物撮影を中心にしていて、風景の中に人をぽつんと入れたりしています」
D5600
tomosaki「あとは地元・福井の景色も撮っています。みなさんは福井県に来たことがありますか?ぜひ来てください。この写真はいま福井駅に飾られているんです。が、夏限定なんです。いま来ていただくと、新幹線乗り換えてすぐくらいに飾ってあるので、ぜひ見てください。僕は地元・福井を写真を通してみなさんに知ってもらいたいという思いだけで撮っているので、ぜひお越しください」
Zf + NIKKOR Z 40mm f/2
カノン「わたしはポートレートを撮っています。中学生の頃から家にカメラはあって触らせてもらっていましたが、本格的に使いはじめたのは関西大学のフォトグラフィー実習。そこで別所隆弘先生と出会いました。半年間授業で学んで、残りの2年間をアルバイトするという、写真だけの大学生活を送っていました。最近はわたしもモデルも社会人になり、時間がなかなか多く取れない中で撮影しているので、基本的に撮影時間が短くなっています。その中でより良い写真を撮るために光とにらめっこするような感じで撮影していますが、わたしが注力している作品は順光ポートレートと呼んでいる作品です。ポートレート撮るときは、サイド光や逆光であることが多く、順光を使うことはなかなかないと思いますが、順光でもうまく撮ったらすごくいい写真になるということを伝えたくてずっと取り組んでいます」
Zf + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8
カノン「この写真は関大の非常階段で撮っていて、4階からスタートして1階に降りるまでに1時間かかりました。これは卒業後の撮影ですが、大学はフォトスポットが多いので、光を求めながらうろうろしています」
Z7 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3
武村「僕は山岳風景写真をよく撮るんですけれど、山の風景はとても雄大で、スマホはもちろんふつうのカメラでも僕としてはちょっと表現できてないなと思っていまして、いま取り組んでいるのはパノラマ写真です。これも120度くらいのパノラマで、パソコンに悲鳴を上げさせながら作っています。こういうダイナミックな範囲を撮ることで、少しでも山のかっこよさを伝えたいなと思っています。4575万画素のZ7の写真を5〜6枚並べているので2〜3億画素だと思います。そりゃパソコンも悲鳴を上げますよね」
Z7 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3
武村「こちらは打って変わり、自宅のすぐそばの鴨川の河原で撮影した写真です。大学で実験を終えて帰っている途中に三日月がキレイに浮かんでいるのを見て、急いで走って撮りにいきました」
横川「僕は旅行や日常生活を記録するという目的で撮っていて、小中学校までゲーム機やスマートフォンで写真を撮っていました。いまは大学生になり本格的にカメラをはじめ、日常生活の中での物撮りや風景、たまに動物を撮ったりしてます。この鳥は大学で撮ったものです。大学で勉強をしようとしていたら、メジロが桜にとまっていたのでこれは撮らないと思って撮った写真です。背景は、特殊なガラスかはわからないですが、少し青くなるキレイなガラスで、桜のピンク色と良いコントラストで撮れたなと思っています」
横川「僕はミニカーなどを集めるのが好きで、今回はフォーミュラーカーを入手して撮影してみました。ライティングはまったくわからなかったので、100円ショップでライトを買ってきて撮っています」
彩「わたしが写真をはじめたのは中学2年生のときでした。はじめたきっかけは、当時動画編集にハマっていて、自分で撮った写真で動画を作っている人がいるのを知り、わたしも自分が撮った写真で動画を作れたらすごく楽しいんじゃないかなと思ってはじめました。この写真は最近琵琶湖のほとりで撮った写真です。わたしは大学の写真部に所属しているんですが、写真部の友人何人かと撮影に行って、白いワンピースを着せて、麦わら帽子をかぶせて、そこに立ってくれ、と言って撮った写真です」
Z7II + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
彩「モニターでZ7IIを借りたときに撮った写真です。これは車の中から車のガラスを撮った写真で、雨の水滴がキラキラしていてかわいいいなって。撮ってみたら、すごく良い感じに玉ボケが撮れました」
tomosaki「みんな、日常生活の中で写真を撮っているよね」
横川「大学にも大きなレンズを持っていくことがありますし、8〜9割は遠出もせずに日常生活の中で撮っている写真です」
tomosaki「みんなすごいね。日常から撮るのは大事ですね。さて、続いてみなさんが東京カメラ部10選U-22フォトコンテストに挑戦したきっかけ、挑戦して変わったことなどを教えてください」
カノン「応募したきっかけは、ずっと大学で先生から応募しなよ、と言われていたからです。後々聞いたんですが、東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト受賞者に受講生を入れることが目標だったそうで、3年目のときにわたしが獲ったので、思ったよりも早かったと言っていました。この写真が受賞作品です。イチョウやモミジは絶景スポットだと人が溢れていますが、ここは地元の小さな神社の境内なので誰もいない状況でした。場所を独占して撮ることができたのでありがたかったです」
カノン「これも同じ日に撮ったもので、先ほどの場所から車で10分くらいの場所です。ここも参拝しているおじいちゃんおばあちゃんがいるくらいの場所で、みんなお寺のほうに向かっている中、わたしたちだけ森のほうに向かい、光を追いかけて撮った写真です」
Z7 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
武村「これが僕の東京カメラ部10選U-22フォトコンテストの受賞作品で、鴨川の自宅近くの散歩道で撮影しました。何を撮っているかわからないと思うので説明しておきますと、水面に藻が生えていて、その上に水鳥の羽根が乗っています。機材はNIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sというマクロレンズ。この日ちょうど買ったばかりで、家に届いて開封してよっしゃ撮りにいくぞと出掛けていき、とりあえず何かしら撮ろうというときにたまたま見つけて撮影しました」
tomosaki「一発目だよ。最初からマクロレンズの目で撮っていてすごいですよね」
Z7 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3
武村「続いては長野県の湿原で撮影した1枚です。立体的な作品を作ってみたいと思い、背景のボケ感と主役を際立たせて作品を作りました」
tomosaki「よく見ると奥に木の影が見えたりして、日本の風景じゃないみたいに見えますね」
Zfc + NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
横川「東京カメラ部10選U-22フォトコンテストへの応募のきっかけについてですが、僕は写真を本格的に撮りはじめてちょうど1年くらい経ったときに、自分がいまどのくらいの立ち位置にいるのかと思い、ハッシュタグを付けるだけで簡単に応募できるということでチャレンジしました。受賞作はこれで、ZfcにNIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VRというAPS-Cの望遠レンズを買った当日、ルンルンで開封をしてすぐに撮った写真です」
tomosaki「APS-Cでこの質感、描写になるというのが素晴らしいですね」
横川「自分も初めて使ったときに感動しました」
Zfc
横川「こちらはZfc に魚眼レンズを付けて撮った写真。ちょっとシックでファインアートな感じに仕上げました」
彩「これが東京カメラ部10選U-22フォトコンテストを受賞した作品です。応募したきっかけは、たまたまInstagramでフォトコンテストをやっているというお知らせを見て、ハッシュタグを付けるだけで応募できるので気軽な気持ちで応募したらまさか賞を取ってしまって、自分が驚いています」
tomosaki「こちらはニコンプラザでおこなわれた、わたしたちの写真展の様子です。トークショーもさせていただきました。東京カメラ部10選U-22フォトコンテストの受賞に際しておこなわれたもので、本日もトークショーをしていますが、このようなことを自分がするってみんなは想像できてました? できないよね? 僕らは親指を動かしてハッシュタグを付けたくらい。22歳以上であっても20代の学生であれば応募要項を満たすことができるので、ぜひハッシュタグを付けるだけでいろいろなことができます。ぜひ挑戦してみてください。続いて、写真活動を続けるにあたって意識していること、についてお話しを伺っていきたいと思います。みなさんは継続すること、上達するうえで意識していることは何かありますか?」
Z8 + NIKKOR Z 85mm f/1.2
カノン「わたしは写真を撮る仕事をしています。普段フォトスタジオで撮るときは、目の前のお客さんに喜んでもらうことを心掛けていますが、自分の作品を撮るときは、何かを喜んでもらうとかではなく、自分とモデルさんとが一緒に作り上げる作品における新たな可能性というのを第一優先に考えて撮影してます。この写真は、先ほどの受賞作品と同じ場所でちょうど1年後に同じ子と撮りに行ったとき作品です。前と同じだと1年間成長してないことになってしまうので、どこか成長というか、着眼点が変わったというところを意識して撮っています」
tomosaki「そのような作品の裏側を知ると、より一層素敵に見えますね」
Z8 + NIKKOR Z 85mm f/1.2
カノン「これはニコンギャラリーで展示していただいた作品になります。わたしの高校のかつての通学路で、毎日この道を自転車で爆走していました。そのときは特に何とも思っていない場所でしたが、改めて撮ってみるとすごくいい場所だなって。その場所を知り尽くしているからこそ、短時間で撮影ができるとも思っていて、このときも立ち止まったのは5分ぐらいかなと思います」
Z8 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3
武村「僕が日頃から意識していることは、写真を通じて何をしたいのかを考え続けることです。いままでは自己満足の写真で自分が好きなものを撮れていたらよかったんですが、ニコンプラザでの展示をやってみて、見てくださっている人の顔がよりリアルになったので、その人たちを喜ばせたり感動させたい。とにかく感情を揺さぶりたいと思うようになりました。そして、自然の中の美しさだけではなく、冷たさのようなものを写真で表現したいと思っています」
Z7 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3
武村「こちらは自己満足の極地のような作品ですが、自分でカメラを動かしてブレた『ICM photography』というジャンルのものも撮っています。草原の中に大きな木が牧歌的にあったので、それを表現するためにこのように撮っています」
tomosaki「アートですね。僕は動きのある写真や音を感じる写真が好きなんですが、それを感じる1枚だと思いました。自己満足のファンになりそうです」
Z8 + NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR
横川「僕は上達するための技術的なことではないんですが、日常生活の中で写真を撮ることが多いので、やはり毎日機材を持ち運ぶということを意識していますね。このときも望遠レンズを持っていたら、今日は満月だということに気付き、東京スカイツリーもライトアップされてキレイだから一緒に入れたいと思い撮った写真です。これはニコンギャラリーで展示させていただきまして、個人的にもお気に入りです」
tomosaki「すごいですね、日常的にNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRを持っているなんて。そんな人います?(笑)」
Z8 + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
横川「これは大学の通学路の河川敷で、そこに半分だけ枯れている木があるんです。ちょうど雨降った日、今日は雲の形がいい感じだから作品的なものが撮れるかなと思って撮った写真です。これは2枚の写真を撮って合成しています。セルフタイマーを使い、僕が分身しています。傍から見たらヤバイですね」
Z7II + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
彩「わたしが写真の上達のために意識していることは、大げさな感じではないんですけれど、自分の『好き』の気持ちを大切にすること。わたしが写真を撮りたい瞬間というのは、本当に自分の好きな人と出かけるときだったり、美しい風景を見ているときだったりとか。その好きな瞬間や空間を共有しているときを撮りたくなるので、自分の好きを大切にしているから好きな写真が撮れるんじゃないかないと思っています。誰かが評価してくれる写真を撮れることもうれしいですが、まずは自分が好きな写真を撮ることが大切。さらにそれが誰かにいいねと言ってもらえたらうれしいなと思って撮影しています。これはニコンギャラリーで展示させていただきました」
Z7II + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
彩「こちらも同じくニコンギャラリーで展示させていただいた写真で、友人ではなく被写体さんと一対一で撮った写真なので、とても緊張しながらがんばって撮った1枚です」
Z8 + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
tomosaki「最後に僕です。なんで写真を撮り続けるかとよく聞かれますが、僕も彩さんと同じで好きじゃないと写真は撮り続けられないかなと思っています。僕の場合、福井県の田舎の風景や、青春や物語を感じるシーンを表現するのがとても好きで、逆に考えたら僕にしか表現できないものというのは、好きを突き詰めていった結果だと思っているので、これからも僕は福井県の写真などを撮り続けたいと思ってます。ただ僕は福井にずっと引きこもっていたので写真の友だちはおらず、いまのように友だちができたきっかけは東京カメラ部10選U-22フォトコンテストでした。だから受賞できてうれしいし、プラスしていろいろなものをこのようにいただけていますから、本当にハッシュタグつけて投稿して良かったなと思っています」
tomosaki「では次に、U-22に選ばれての気付きや学びなどについて教えてください。また、いま未来に向かってみなさん歩んでいると思いますが、今後目指しているものや展望を教えてください」
Zf + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8
カノン「わたしはこれまで3回トークショーに呼んでいただいて、毎回こうやって話す内容を考える時間もあるんですけれど、わたしは感覚的に生きている人間なので言語化するのがめちゃくちゃ下手くそで、何考えて生きてるかちょっとよくわかってないんですけど、やはりこういう場においてはそういうわけにはいけないので、何をしたいんだろう、何が好きなんだろうということを改めて考えさせてくれる時間をもらってるなと思ってます。自分が今後やりたいこと、強いところ、弱いところを知ることができたと思っているので、こういう機会はありがたいですね。目指してるものは、やはり順光ポートレートです。このジャンルにわたしは可能性を感じています」
Zf + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8
カノン「ただ順光ポートレートは誰とでもできるジャンルではないんです。被写体の方には順光ということで結構な負担をかけてしまいますし、理解は重要になってきますが、共通認識として良いものを作りたいって思ってくれているモデルさんがたくさんいるので、そういう方に支えられながら、これからも続けたいなと思ってます」
Zf + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8
カノン「この3枚と先ほどお見せした写真は、会場内にも展示しているので、ぜひ、みなさん探してみてください」
Z7 + NIKKOR Z 14-30mm f/4
武村「僕の新しい気付きは、見てくれる人の存在がリアルになったことで、写真だけではなくて言葉も使って伝えていかなきゃいけないと思ったことです。これは剣岳のパノラマ写真ですが、もっとダイナミックに360°のパノラマを作っていきたいなと考えています」
Z8 + NIKKOR Z 14-24mm f/2.8
武村「時間を被写体にする『Day to Night photography』というものも撮っています。愛媛県の今治市で撮影した写真で、広角レンズで撮った写真をパノラマに繋げるだけでなく、昼から夜までを撮ったものを何枚もグラデーションをかけて合成することで時間の変化を1枚に収めていて、二次元の写真に四次元の情報を詰め込むということをしています。ここには6時間くらい滞在しました」
Z7 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3
武村「これは場所に囚われないというテーマの写真で、『Intimate landscape photography』というものになります。これは将来、登山に行けなくなってしまったり遠出できないときにも、自然の美しさは至るところに転がっているんだよ、ということを自分の中に持つためにはじめました」
Zf + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S
横川「東京カメラ部10選U-22フォトコンテストに受賞してからの僕の気付きは、さまざまなジャンルの写真を撮っておられる方と話す機会が増えて、自分としてはそれまで割と多くのジャンルの写真を撮っていると思っていたんですけど、意外とできていないなと感じて、これからはもっと撮っていきたいなと思っています。そのうちの1枚がこの星の写真です。初めて赤道儀を使って星を撮りました。星の写真は現像やスタックの仕方が特殊で全然うまくできなくて、星の写真に詳しい方が見たら怒られるような写真なんですけど、それでも自分の中では星に興味を持てたという記念の1枚です」
tomosaki「先ほどから『はじめて』の1枚がすごいですよね」
横川「自分なりに調べますし、最初から撮っている友だちと一緒に出かけていろいろと聞いたりしました」
Z8 + NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR
横川「これは僕のアパートの窓から撮りました、勉強の休憩途中にチラって外を見たら雲の近く月が出ていて、あ、これは撮らないとと思って180-600mmを用意して撮った作品です。アパートは3階で、周囲は2階建てが多いので撮れました」
Z8 + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
横川「これからは物撮りもやっていきたいので、家の中の果物をかき集めて撮った1枚になります。少し絵画風を意識しています」
Z8+ NIKKOR Z 40mm f/2
彩「わたしの気付きは、まず自分の写真が誰かに認めてもらえる価値があるということでした。そして、モニターでニコンの新しいカメラを貸していただいて、ふだん自分が撮らなかった写真も撮りたいなとおもうようになっていきましたね。わたしは昼間の明るい時間帯に撮ることが多いんですけれど、夕方や夜、マジックアワーなどもすごく好きになって、この写真もずっと日が暮れていくのを見ながら撮っていました」
tomosaki「フォトコンに入賞すると、ニコンからモニターとして機材を貸していただけます。良い機材を使うと撮れるものが変わるから、好きの幅がめっちゃ広がるよね」
Z7II + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
彩「これもモニターでお借りした機材で撮った写真です。初めて被写体さんと撮って緊張したという話をしましたが、それと同じときに撮っています。ウェディングベールを持ってもらって撮っていたんですが、自分がかぶったらどうなるんだろうと思ってしまって、そうしたらめちゃ光が拡散して撮れた1枚です」
Z7II + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
彩「青がテーマの写真を撮っていますが、これはわたしが好きな水色と白い服を着た女の子が木の横に立ったら、もうかわいいが詰まっているというだけの写真です」
Z8 + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
tomosaki「最後に僕ですね。僕はアイデア写真みたいなものが好きで、ふだんから小道具を持って撮影に出掛けています。これは雲をヤカンの水に見立てた写真です。めちゃくちゃ好き? ありがとうございます!」
Z8 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
tomosaki「最近は学校のプロモーション動画を作らせていただくことが多いです。ニコンの機材を使わせてもらい、これからもたくさん発信していきたいなと思ってます」
tomosaki「そして告知になってしまいますが、KADOKAWAから『あの頃にみた青は、』という写真集を発売しておりまして、わたしの写真が詰まっていますので、ぜひ見ていただきたいです。最後に、東京カメラ部10選U-22フォトコンテストへの応募を検討している方に向けて、自身の経験も含めてメッセージをいただけたらと思っております」
カノン「わたしたちと同じくらいの世代の方は、写真撮ったらInstagramに投稿している方は多いと思います。その日常の投稿にハッシュタグに付け加えるだけで未来が変わった人たちここにいます。ハッシュタグをつけて投稿するということをしただけで将来の選択肢が変わりましたし、写真の向き合い方もすごく変わりました。なにより、このフォトコンテストは本当にお金もかからないし、時間もかからないので、参加しないという選択肢はないかなとわたしは思っています。ぜひ参加してみてください」
武村「僕が東京カメラ部10選U-22フォトコンテストですごいと思うことは、ハッシュタグで検索したら他の人の作品が見られるということです。僕は自分が応募しているとき、この人すごく上手いなと思った方にDMを送って仲良くなり、写真展をやりました。このフォトコンテンストを通じて、写真で語り合えるような友人ができたんです。受賞はもちろん目標としていましたが、人との関わりが増えていくというのも、このフォトコンテストのすごいところだなと思うので、みなさんぜひ応募してみてください」
横川「このフォトコンテストはハッシュタグを付けるだけで応募ができることがすごいです。ふつうなら基本情報を書き、プリントまでして応募しないといけないこともあります。ハッシュタグだけで可能性が広がるので、写真で何かを成し遂げたいという方は応募していただければと思います」
彩「本当にハッシュタグを付けるだけで気軽に応募できるにも関わらず、新しい出会いもあったり、自分の写真に自信を持てるようになったりと、いいことしかないですね。ぜひ応募していただきたいと、ここにいる全員が思っています」
tomosaki「僕もいまはフリーランスのフォトグラファーとして活動していますが、賞をいただくのは自信になるし、労力に対していただけるものはすごく多いので、気軽にやっていただけたらと思っております。以上でトークショーを終了したいと思います。現在、ニコンイメージングジャパンと東京カメラ部は、東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト2024を開催しており、応募締め切りは10月31日です。みなさまの表現活動の場をご提供したいという思いから、東京カメラ部10選U-22に認定された方にはニコン製品の貸し出し、ニコンイメージングジャパンが運営する写真展会場『THE GALLERY』での展示など、さまざまな特典をご用意しています。次世代を担う若きクリエイターのみなさまの作品をお待ちしております。ニコンの最新情報やイベントの詳細をチェックしたい方は、ぜひ二コンイメージングジャパンの公式Instagramアカウント『@nikonjp』をご覧ください。興味深いコンテンツや撮影Tipsもありますので、ぜひ覗いてみてください。本日はありがとうございました」
登壇者プロフィール
Speaker Profile
tomosaki
2000年生まれ、福井県出身。現在は福井県と関東の二拠点を中心に活動中。
「青春や物語を感じるシーン」をテーマに撮影している。2023年よりフリーランスフォトグラファーとして活動。
2020年「東京カメラ部10選U-22 フォトコンテスト」に入選。
2022年KADOKAWAより「あの頃にみた青は、」、モッシュブックスより「L&SCAPE 撮りたい世界が地元にある」を出版。
カノン
東京カメラ部10選U-22 2022 大阪府出身2001年生まれ。大学の実習をきっかけにカメラを手に取り、ポートレート撮影に目覚める。フォトスタジオで勤務しながら、休日に作品を撮る生活を送っている。
武村拓海
京都の大学院に在籍。山岳風景を中心に自然風景を撮影している。現在は場所に縛られない写真、時間の変化を写した写真の2つをテーマに撮影を行っている。
横川博樹
インスタグラムをメインに「ひろ」という名前で写真を投稿し、活動している。富山県出身で現在は東京に一人暮らし行っており、自分の日常生活の中にある物や風景などを中心に撮影している。
彩
2002年生まれ。京都出身。現在大学4年生。中学2年生の時に一眼レフを買ってカメラを始めて今年で8年目。淡くて儚い青の世界観を中心に、ポートレートや風景、小物撮影など多くのジャンルで撮影している。