トークショーレポート
Talk Show Report
2024年9月20日(金)~9月23日(月・祝)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2024写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。
9月23日(月・祝)に行われた東川町・ひがしかわ観光協会のトークショーでは、東川町長 菊地伸氏、東京カメラ部10選、早稲田大学基幹理工学部非常勤講師の井上浩輝氏にご登壇いただき、『「食べらさる!ひがしかわ」食を通して見える東川町の美しい背景』というテーマでお話しいただきました。
塚崎「東京カメラ部代表の塚崎です。本日はトークショーにお越しくださりありがとうございます。最初にお知らせがございます。このトークショーの最後にじゃんけん大会があります。じゃんけんに勝つと井上さんが撮影した写真の額装プリントを1名にプレゼントいたします。また最後まで着席されている方全員に東川町の水、大雪旭岳源水ペットボトル1本と東川米をプレゼントいたします。もしよろしければ最後まで聞いていただければ幸いです」
「本日ご登壇されているのは東川町長の菊地 伸さん、そして東川町在住であり写真家の井上浩輝さんです。それでは早速、タイトルの『食べらさる』という意味からお願いいたします」
菊地「『食べらさる』の意味は北海道出身じゃない人はよくわからないのではないかと思います。自分のせいでもない、他人のせいでもない、よくわからないけど量をたくさん食べてしまう、という意味で使います。壁のスイッチに寄りかかって肩で押してしまうことがあるじゃないですか。それを『押ささる』とも言います」
井上「ちょっと言い訳じみているんですよね。自分のせいではない、でもあなたのせいでもない。そういうときに『押ささった』と言うんです」
塚崎「東川米だと『食べらさる』ということが起きますよね。実は僕もずっと東川米を食べており、ふるさと納税で年間60kg購入しています」
菊地「ふるさと納税の東川米は人気で、手に入りにくい米と言われています。ふるさと納税の寄付が伸びても一定量を超えたら出荷はできません。実は昨年は年末前には完売してしまい、その後は新米予約に切り替えたのですが、好評すぎて今年の出荷量の半分くらいが既に予約済みの状態です。東川米をふるさと納税で食べていただくのであれば、今すぐにでも申し込んでいただきたいです」
井上「僕の家でも東川米を玄米で買っていますが、我が家で『今日は買うことができたよ』という会話がこの数年で出てきたんですよ。我が家でもなかなか買えない東川米という印象があります」
塚崎「来年の米をいま予約しなきゃいけないという状況ですね」
「では東川町がどういうところかをご紹介いただきます」
井上「東川町は北海道の中心の位置にあります。旭川駅までは車で30分、新千歳空港までは車で2時間半です。旭川空港までは車で10分、僕の家からは信号2つで旭川空港に行けます。旭川空港に近いというのは町民にとってすごくありがたいことで、僕は大学の教員なので毎週水曜日の飛行機で東京に通勤するんですね。家から10分で空港ですから、出発の45分前に家を出れば十分飛行機に乗ることができ、そこから1時間40分で羽田空港へ行けるのです。僕の家からだと札幌よりも東京の方が時間距離が近いです。町長もそう感じるのではないでしょうか」
菊地「札幌に行くより東京に行く方が体も楽で便利ですね」
井上「僕は普段動物の写真を撮り回っているのですが、北海道の真ん中にあるのであちこち移動しやすいん
ですよね。北海道の翼AIRDOさんの仕事もしているので、釧路エリアで良い被写体を見つけたら旭川-釧路の便を買って、東京に飛んでまた釧路に戻ってそこから新しい旅をする、ということもしています。結局のところ真ん中に戻るというのがアクセスの面ですごくいいなと思って大事にしています」
井上「関東圏にお住まいの方には、朝7時に羽田から飛ぶエア・ドゥの81便があるんです。そうすると8時半には旭川空港にいるんです。いまだったら朝の気温7度の旭川に着くんですよ。すごいですよね。そんなところに東川町があるんです」
塚崎「菊地町長、便利ですね」
菊地「私も今日は9時半に家を出て、羽田に着いたのが12時前です。役場からギリギリまで粘って定刻30分前でも間に合います。保安検査場も羽田とは違ってそんなに混んでいないのでスムーズに行けます」
塚崎「この絶景が広がる町です。」
井上「田んぼに水が入ったばかりのときに空撮をしたのですが、一面が鏡のようになるんですね。そして旭岳の向こうから太陽が登ってくる最高の画を撮ることができるのも、この町ならではだと思います。夜に車で走ると水面が近くて、自分は本当に道路を走ってるのか?とドキドキすることもあります」
塚崎「拝見したときは水田に浮かぶ町だなと思いました。本当に美しいです。水田が広いんですよね」
菊地「鏡面水田と呼んでいるのですが、東川町でしか見られない景色だと私たちは言っています。その秘密は水田面積のうちの作付率が非常に高いということです。東川町の農業は米中心で、水田には水が張られます。転作といって違う作物を植えると当然水を張る面積が少なくなりますから、このように一面が水田という風景にはならないのです。そのような意味でも東川町は日本一の水田風景だと思っています」
塚崎「データで見るとこうなっています」
菊地「東川町の農業の耕作面積データです。東川町は畑地が700ヘクタール、そして水田面積が2,800ヘクタールとなっています。国の制度で助成対象水田といって米を作れる面積が2,800ヘクタールあり、そのうち水田作付面積が2,300ヘクタールとなっていますので、約85%で稲作が行われていることになります。平らな土地を水田として水を張って稲を植えているというのが東川町の特徴だと言えます」
塚崎「東京の人間からすると総土地面積がすごいと思いませんか?大阪市と同じなんですよ。ちなみに町長、東川町の人口は?」
菊地「現在は8,600人くらいです」
塚崎「大阪市と同じ土地面積に8,600人ですよ。すごいですよね」
「そしてコメのJA集荷率95%とはどういうことでしょうか?」
菊地「東川町には農協が1つだけ存在しています。他の農協の多くでは合併が進んでいて町に1つだけというのは珍しいパターンです。それだけ農協が頑張って運営をしてきた訳で、町と一体になって東川米のブランド化や政策を進めており、東川の米の95%は農協で取り扱われています。ということは、厳しい基準をみんなで守って美味しい米を作ろう、という力が町全体に行き渡るのです。この95%というのは非常に大きな意味があります。私はこれも全国一だと思っています。こんな農業地域はなかなかないのではないでしょうか」
塚崎「つまり品質管理がきちっと統一されてるということですよね」
菊地「そのとおりです。ゆめぴりかという米が最も有名で、マツコ・デラックスがCMに出ていますね。ななつぼしが2001年に販売されましたが、それまでは北海道の米は『やっかいどう米』と言われ、寒い地域でとれる米はあまり美味しくないと言われていました。2008年あたりに登場したゆめぴりかは本州の米に勝るくらいの美味しさになりました」
塚崎「先日の米不足のときも『北海道の米が美味しいことに驚きました』とメディアでコメントが出ていましたが、いまや美味しくて当然というレベルになっていますよね」
菊地「北海道全体の米も美味しくなりましたし、その中でも東川町は北海道随一の米どころです。寒暖差が激しく、土壌質も米作りに適しています。2019年にゆめぴりかコンテスト最高金賞受賞とありますが、名実ともに最高の米になったと思います。」
塚崎「東川町のお米を売っている場所に北海道のいろいろな地域の方が買いに来ているんですよね。すごく驚きました。そしてさらに工夫されているんですよね」
菊地「農協の事業で去年から『ひがしかわライスターミナル』の整備を進めており、東川町も全面的に支援し、農協や農業者の負担なく実施しようとしています。ここでは町の水田2,800ヘクタールから集まった米を乾燥調整する機能を備えています。今年の6月からは先行して精米施設が稼働を開始し、乾燥調整は来年から始まります。この施設ができたので、東川で収穫されたお米をすぐその場で精米し、袋にパックして販売できるようになります。ふるさと納税も精米したてのお米をおそらく1週間程度でお宅に届けることができると思います。」
井上「ちなみに今まではどれくらいかかっていたんですか?」
菊地「実は100kmくらい離れたところにある北海道のホクレンが運営しているパールライスの精米工場で精米をしていたので、相当時間がかかっていました」
塚崎「最近は新米がなぜなかなか手に入らないのだろう、と話題になったと思うのですが、各地から集めて処理をしてまた戻すということをやっているので、米を刈りとったからといってすぐ出せるわけではないんですね」
菊地「新しい設備では収穫後にしっかり統一した品質管理をする調整が図られて、精米してすぐの米が販売できるということです」
菊地「金賞健康米というものがあります。米の上ってちょっと欠けていますよね。その部分は栄養が高いところで、玄米だとそのまま残るのですが少し食べづらい。だから胚芽の部分を少し残した精米方法を取り入れました。栄養を残して、特にビタミンE、ビタミンB1は数倍残るんです。それが可能な新しい精米設備を全国で初めて導入しました。健康東川米と米の袋に書いたものを農協で販売しています。ふるさと納税の返礼品にも入っています」
塚崎「美味しそうなご飯の写真です。井上さんが撮った写真ですか?」
井上「我が町にきとろんという名前の温泉とサウナの施設ができたんですね。そこで食べられるご飯です。写真の通り結構な品数が出てくるんです。町民の方や各地からいらっしゃった方々が温泉に入ったあとで、おかずがいっぱい入っているご飯を食べることができるんです。そして東川米はおかわり自由なので東川米をたくさん食べることができるという素敵な施設です。建物のデザインを提案されたのは隈研吾さんです」
菊地「サウナが評判ですね。10人くらい入れるサウナと6人くらい入れるサウナ、男女別で2箇所ずつあります。例えばローズマリー風呂などもやっていますし、水風呂もあり充実しています」
塚崎「宿泊施設もあるんですよね」
菊地「この建物にはないのですが、同じエリアに一棟貸しの宿泊施設が18棟ございます。これから2棟着工しますから、来春には20棟になります」
井上「その一棟貸しをしているコテージの周りにはキタキツネ、エゾリス、そしてエゾフクロウ、モモンガ、シマエナガと、北海道で撮りたい動物がすべているんです。ドアを開けるといるという、すごいところなんです。望遠ズームを持ってここで1週間滞在し、お風呂のんびりして、美味しいご飯を食べて、そして動物を撮影する。僕はいま大学の学生たちから『ここで合宿して授業してほしい』と言われているんです。そこで5日くらい合宿したら全部単位あげちゃうよ、なんて言ったらみんな来ちゃいますね」
塚崎「私も社員からここで長期滞在したいとリクエストがきています」
「そしてまだまだおすすめがございます」
井上「東川には美味しい食べ物屋さんがたくさんありまして、どんどん増えているんですね。今回は美味しいお店を発見したいと何件か廻ったんですが、そこで見つけたのが「ハルキッチン」さんというお店。このお肉、何のお肉か分かりますか?こちら鹿肉なんです。すごいことにこの女性がハンターで、ご自身で鹿を調理しているんです。スノーモービルや軽トラで鹿を連れてきて、自らの敷地内にある解体所で解体をし、そしてお客さんに鹿を提供するんです。食べてみたら美味しくて、臭みがないんです。エゾシカの脂がこんなに美味しいということを初めて知りましたね」
菊地「処理の仕方によって変わるんですよね。処理加工場は実は東川では初めてです。ご自身の加工場なのですぐ処理ができて、血抜きなどいろいろな工程が必要です。すごく美味しそうですね」
井上「この方が作っているボロネーゼとカレーがレトルトになって旭川空港で売られているのを発見しまして、そちらもとても美味しかったです」
塚崎「皆さんも簡単に買えるということですよね。ちなみにこの方も移住者とお聞きしました。東川は移住の方が多いんですよね」
菊地「私、実は移住者という言葉があまり好きではありません。移住者というとよそ者というイメージを抱く方がいるんです。1日でも東川に住所を置いたら定住したということだと思うんです。この20年30年で定住された方は50%以上を超えました」
塚崎「町の50%以上が外から来た方ですよ!」
井上「僕もその一人ですね。2012年に住み始めましたから」
塚崎「すごいですよね。多分日本で東京ぐらいじゃないですかね、50%以上って」
井上「以前道庁で、銭函と東川町が顕著になっていると聞きましたね」
塚崎「なのでパッと移住しても違和感がないというか、多様性に富んでいると感じます」
「そしてさらに食べ物ですね」
井上「一番右が僕の大好きな「なつカフェ」さんのハンバーグ。ハンバーグの上にご飯が乗ってるんです。ハンバーグのグラム数を選べるのですが、すごく量が多いんです。Sサイズを頼んでも食べきれないくらいです」
塚崎「またどんどん新しいお店ができてるんですよね?」
井上「そうです。デザートもおすすめです。左から二番目は「お菓子喫茶みうら」さんのパフェで、これは週末限定なのですが、普段はフランスの焼き菓子が出てきます。フランスで修業した後に渋谷の美味しいパン屋さんに勤めていた方のお店です。まだほかにも東京の名店で働いていた方などがどんどん移住されて、東川でお店を出しているんですよね」
菊地「知らないうちに増えていたりして私も追いつけていないくらいです。東川町の観光協会が出しているグルメマップで数えたら64店舗ありました。10年前は30店舗くらいしかなかったので、本当に倍ですよね。さらに増え続けている状態です」
塚崎「人口が8,000人ちょっとでですよ。ここだけ渋谷か原宿みたいに、どんどん新しいお店が生まれています」
井上「仲いい友達が来ると、どこに連れて行こうか毎回悩んでしまうくらいですね」
塚崎「他にもこんなものが」
井上「町にはコーヒー屋さんがいくつもできました。ドリップパックのコーヒーを製造している「TAISETSU coffee」さんでは、僕だけではなく、東京カメラ部10選の半田菜摘さんや安彦嘉浩さんが撮った写真がパッケージになったものも売られています。千歳空港や旭川空港でも手に入るようになっています」
「このような美味しいものができる背景をご覧ください」
井上「この写真は僕の家の前で撮ったダイヤモンドダストです。ダイヤモンドダストを撮影する場所は、雪が見えやすいように背景が少し暗いところがいいんですね。あとは200mmくらいのレンズがあるときれいに撮れると思います。出る場所によってはF8でも十分きれいに玉ボケになります。高いレンズではなくてもきれいなダイヤモンドダストが撮れちゃうんですね」
塚崎「そしてこの美しい場所はどちらでしょうか?」
井上「我が町の水が湧き出てくるところです。源水ですね。ここで水を汲んでいる方も大勢いらっしゃいます」
菊地「近くにはボトリング工場があるんです。加熱殺菌しないので、出ている水と全く同じなんですよ」
井上「僕は出張が多いのですが、家に帰って一番最初にやることが水道の蛇口をひねって水を飲むことなんです。我が町には水道設備がないんですよね」
菊地「『どういうこと?』と思われるかもしれないのですが、地下からポンプで水を汲み上げて飲んでいます。それが全世帯、会社も役場も全部そうです」
塚崎「道内いろいろなところから汲みに来ていますよね」
井上「旭川市内の飲食店の方が取水場に来てポリタンクに汲んで、これで料理するんだとおっしゃっているのを見かけたことがあります」
井上「そしてこちらはネコヤナギです。ネコヤナギは水が多いところに生えているんですけども、春になると色がなかなかないところに、こうやってネコヤナギの花が出てきます。逆光のなかで撮るとすごくきれいです」
塚崎「動物以外にもこういった景色が撮れるんですね。そしてこれがきれいなんですよね」
井上「水田に水が入り始めるころにスイセンが咲きます。水田の畔(あぜ)のところに農家の方も花をいっぱい植えているんですよ。畔が崩れそうだから嫌がるのかなと最初は思ったのですが、かなり多くの皆さんがやっている印象です。これは大丈夫なんですか?」
菊地「畔というより農道の脇に植えている方が多いですね。ここがきれいになるように植えているんですね」
塚崎「僕は全国を回ることが多いですが、水田の周りって本当になにもないんです。東川町だけ花がいろいろなところに咲いていて、花の道になるんですよね。畑によって植えてあるものが違うんです」
井上「北海道最高峰の旭岳から雪解けの水が流れてきて、田んぼに入り、そしてこの花が育つというストーリーがすごく素敵な町です」
塚崎「上からだけではなく、水田の横を通っていても楽しい。それ自身がエンターテイメントになっているようなんですよね」
井上「稲が育っている最中に撮った1枚です。水田がだんだんと大型化していくと、大きな風景が見えます。結構な高度から撮っているんですよ。150m近く上から撮っているのに、なかなか他の道が見えてこない。水田ばかり見えてきます。大きくなっているということなんですよね」
塚崎「1つの水田が大きいですよね」
菊地「田んぼ1枚の面積が2.2ヘクタール。田植え機に乗ったら向こう端が見えないくらいの大きな田んぼに再編している状況です」
塚崎「水田に水を張ったとき、そばに歩いていくと池にしか見えないんですよ。端が見えないので、大きい池があると思うんですよね。リフレクションで旭岳と一緒に撮るときれいですよね」
井上「リフレクションの時期になると、僕は同時にキツネの赤ちゃんを探さなきゃいけないという忙しい時期になるんです。でもいつか撮りたいですね、水田にリフレクションしてトコトコ歩いていくキツネが撮れたら最高だと思います」
塚崎「きれいなんですよ。個人的には水田に水を張る時期にぜひ東川を訪れていただきたいです。あとはお米を収穫したあとですね。新米が食べられますから。カフェがたくさんあるので、1週間滞在しても毎日違うお店を楽しめます。旭岳に行くとこういった風景が楽しめますよね」
井上「紅葉が始まっていて、数日前には雪が降ったそうです。我が町の一番高いところまで行けるロープウェイの少し上から撮った写真です。山の上から秋がどんどん転げ落ちるようにやってくる季節ですね」
菊地「初雪ではなくて初霜らしいです。表面の水分が全部凍ったので、麓から見ると初雪のように見えたそうですよ。昼になると温度が上がって溶けてまた元に戻ったということです」
井上「見た目がそうだったんですね。じゃあ僕これから初雪を撮れるかもしれないですね」
塚崎「真ん中あたりに見えるのがロープウェイですよね」
井上「ロープウェイの姿見駅という一番上の駅です」
塚崎「なのでここまでは歩かないでいいんです」
井上「登るのが大変なので、写真を撮るときはあの駅からドローンを飛ばして撮るんです。敷居の低い撮影で絶景を撮れるというのも、長く楽しめる方法なのかなと思います」
塚崎「そして、お米が育つとこうなるんですよね」
井上「この写真は少し前の季節です。稲の収穫前なので8月末くらいの風景です。稲刈りは現在は8〜9割終わりました。収穫のときに黄色い絨毯になるのが圧巻なんですよね。春は水が張っていて、秋は黄金色に一面覆われます」
井上「宿泊施設も今どんどん増えています。個人的に気になる宿泊施設は「Fox Container Hotel」。僕の知り合いがやっているんです。格好いいですよね。コンテナの内装を格好よく整えていて、いいホテルの一室のようです。旭岳の温泉のロープウェイ駅の麓にも、まるでアルプスのようなきれいなホテル街があって、美味しいご飯と一緒に山を楽しむことができます。実は住むところだけではなく、泊まれる場所もたくさんあるんです」
菊地「もともと温泉街には旅館やホテルが多かったのですが、市街地周辺にも宿泊施設が増えているのも特徴的な変化だと思います」
塚崎「東川町は町が平らなんですよね。水田があれだけある場所なので、坂がないんです。自転車やベビーカーも楽に移動できるんですね。だから定住される方が増えているのかなと思います。子育て世代もたくさんいらっしゃっています。そして先日お祭りをされたと伺っています」
菊地「この三連休は東川ではイベントづくしだったんですよね。明治28年に開拓の鍬が入って、先日記念すべき130年を迎えました。かたい式典はやらずに楽しめるイベントにしようということで、歌手の大黒摩季さんのコンサートをメインに開催して来場者数は約25,000人という結果になりました」
塚崎「人口8,000人ちょっとの町に人口の約3倍の人が来たんですね。これはすごいです」
菊地「我々の想定は15,000人だったんです。駐車場も不足するし大パニックが起きるんじゃないかと心配したのですが、なんとか無事に終えることができました。大黒摩季さんは北海道札幌市出身で、2017年に東川町が写真甲子園の映画を撮影したときの主題歌と挿入歌を担当してくれました。そのときにも野外コンサートを開催してくれ、そのご縁もあり再度お願いしようということになりました。私は去年町長に就任したのですが、2017年のときはイベントのステージ周りの担当だったので、大黒摩季さんにはそのときから関わりがありました」
塚崎「だからこそこういうイベントができたんですね。人は縁だなと思います。そして最後のスライドです。こういった景色が見られるのが東川町ですね」
井上「僕がスタジオにしている場所の近くから撮った光景です。ちょうどこのスライドの準備をしているときにこの虹が出ました。僕はこの町が大好きで、なんて住み心地のいいところに引っ越したんだろうと思います。あの判断は間違ってなかったなぁということを日々感じながら生きています。町長、これからもこの町をもっともっと住みよくしてください。いまももちろん満足してるんですけども、楽しいことが起きると嬉しいと思います。僕もいっぱい協力します」
菊地「今年の大手不動産会社の住み心地ランキングでは、東川町は全国1位をとりました」
塚崎「いま移住しようと思ってもなかなか土地がない状態になってきていると伺いました」
菊地「アパート入居率が99%以上で、土地もない状態です。東川のアパートに入りながら1年、2年かけて土地の情報を入手したり、いろいろなツテを使ったりと、そんな状況になっています。昨年68区画の分譲地を作ったらあっという間に完売しました。今年は10区画を造成するのと、来春にもう9区画を予定しています。町を一気に開発するという考え方は我々にはなく、均衡ある街を持続させるという考え方で、バランスを取りながら少しずつやっていきたいと思っています」
井上「東川町の魅力はブースでご案内しています。ぜひそちらにもお立ち寄りください」
塚崎「本日はどうもありがとうございました」
トークショーの最後には井上さんの写真をかけたじゃんけん大会が開催されました。