トークショーレポート
Talk Show Report
2023年9月15日(金)~9月18日(月・祝)、東京・渋谷ヒカリエで「東京カメラ部2023写真展」を開催しました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーを行いました。
9月18日(月・祝)に行ったこおりやま広域圏のトークショーでは、写真家の横田裕市氏、東京カメラ部10選のphoto_booooy氏、郡山市国際政策課の小川俊介氏にご登壇いただき、「こおりやま広域圏の魅力を高めるカメラの可能性」というテーマでお話しいただきました。
小川「皆さんこんにちは。福島県郡山市から参りました。写真家のお二人をお招きして、本トークショーのテーマ『こおりやま広域圏の魅力を高めるカメラの可能性』について、お話ししたいと思います。早速、横田さんから順番に自己紹介をさせていただきます。」
横田「写真家の横田裕市と申します。福島県郡山市出身で現在は東京在住です。会津大学に通っていて、福島県には大学生時代までいました。郡山市ではもう7年ほどお仕事でプロモーション関係の撮影をしています。今は風景写真家として活動していますので、観光局やツーリズムに関連するお仕事や、写真でその土地の様子を伝える活動をしています。今回はphoto_booooyさんと、郡山市をはじめ、こおりやま広域圏のことについてお話しさせていただきます。よろしくお願いいたします」
小川「ありがとうございました。それでは次にphoto_booooyさん、自己紹介をお願いいたします」
photo_booooy「東京カメラ部10選2020のphoto_booooyと申します。わたしも郡山市出身でして、いまも郡山市に住んでいます。仕事と育児の傍らで、休みの日に写真を撮りに行って楽しんでいます。今回のトークショーで皆さんに少しでもこおりやま広域圏ってどういうところかな、というところを知っていただければ大変嬉しいので、頑張ってお話させていただきます。よろしくお願いします」
小川「お二人ともありがとうございます。わたしは普段、郡山市役所で公務員として仕事しております。郡山市国際政策課の小川俊介と申します。5年ほど前からSNS運用の担当になって、そのことがきっかけでプライベートでも写真を撮るようになりました。今回のトークショーでは、技術的なお話というよりも、どちらかというとまちづくりについてのお話ができればと思います。本日はよろしくお願いいたします」
小川「郡山市は、福島県のちょうど真ん中にある地方都市です。人口は約30万人で、東京からだと新幹線でだいたい80分ぐらいの場所にあります。いわき市に行ったり、福島市に行ったり、会津若松市に行ったりという福島県の中でもハブ的な役割を担っています。鉄道やインフラが東西南北に走っていて、ちょうど郡山市が県内の中心になっています。今回はこおりやま広域圏ということで、周辺の17市町村で広域連携しておりまして、郡山市だけではなく17市町村すべての魅力を発信したいということで、ブースを出させていただいたり、フォトコンテストを開催したり、お二人を招いてのトークショーを行ったりさせていただいています」
小川「今回『こおりやま広域圏』つながるフォトコンテスト2023を開催しておりまして、お二人には特別審査員を務めていただいております。今回のブースでは受賞作品8作品の展示に加えて、特別展示としてお二人の作品を2点展示させていただいております。これからお二人には、8作品の入賞ポイントを振り返りながらお話をお伺いできればと考えています。入賞された方のコメントもいただいているので、わたしの方からご紹介しながら進めてまいります」
#フクナカカルチャー 作品
「流鏑馬の町より」
【撮影場所】三株高原(古殿町)
【撮影者】シン(shin_i_gotta_believe)
小川「#フクナカカルチャー 受賞作品の1作目です。カテゴリーで言うと歴史や伝統文化ですね。『流鏑馬の町より』というタイトルです。春、古殿町の三株高原というところで行われたもので、シン(shin_i_gotta_believe)さんの作品です。『春と秋の年2回行われる流鏑馬大会。人と馬の迫力や勢いをどう撮るか?と考えて撮影ポイントを決めました。一直線に駆け抜けてくる馬と、矢を放つ選手の表情が伝われば幸いです』というコメントをいただいております。この作品について、横田さんから入賞のポイントをお伺いできればと思います」
横田「はい、こちらは流鏑馬の作品ですね。福島って本当に広いんですよ。わたしも恥ずかしながらのこの写真を見るまで、福島県に流鏑馬の文化があることを知りませんでした。古殿町では実は800年ほど流鏑馬の歴史がありまして、春と秋の2回大会があるんですね。こちらの写真は真正面から撮られており、矢を打つ方と馬とのバランスが良く、ちょうど矢を離した瞬間をおさめているんです。ちょうど矢を放って、いざ的に飛んでいく瞬間を正面からとらえた、流鏑馬の動的な瞬間です」
#フクナカカルチャー 作品
「光と影」
【撮影場所】史跡慧日寺跡(磐梯町)
【撮影者】niga713
小川「ありがとうございます。次も歴史と伝統文化のジャンルで『光と影』というタイトルで、niga713さんの作品です。こちらは磐梯町の史跡、慧日寺跡(えにちじあと)で行われているライトアップイベントで撮影されたものですね。『5月27日、28日の両日夜に慧日寺跡にて開催された。大小1,000個の灯篭がある光景は実に圧巻の光景だった。特にお気に入りだったのがこの足元を照らす光と影。この光と影に魅了され夢中になってシャッターを切った。来年の開催にも期待したい』とのことです。こちらについてphoto_booooyさんからポイントやお話をお伺いできればと思います」
photo_booooy「手前に大胆に道を入れて撮影されてまして、奥に建物をぽつんと写されたものですけども、構図が整っていて、この並んでる灯籠も印象的ですね。奥に続いていくにしたがってだんだんと小さくなっていく。これだけで奥行きが伝わりますし、色合いの関係としても、進出色である黄色を手前に置いて、後退色と言われる青色のライトアップを奥に置くことで、色彩遠近法の観点からも奥行きを感じられて、まるでその場に立ってるかのような気持ちにさせていただいた素晴らしい作品だなと思い、選ばせていただきました」
#フクナカビュー 作品
「天鏡湖」
【撮影場所】磐梯山 山頂(猪苗代町)
【撮影者】Chillemoon (ちるえもん)
小川「ありがとうございます。次が#フクナカビューの作品ということで、風景メインの写真が続きます。『天鏡湖』というタイトルで、Chillemoon (ちるえもん)さんの磐梯山の山頂から望む猪苗代湖を映した作品ですね。『福島県会津地方のシンボルである磐梯山。郡山市からのアクセスもよく、また、「磐梯朝日国立公園」に指定されおり、会津地方にとどまらず福島県を代表するスポットの一つと言えるでしょう』というコメントをいただきました。こちらについて、横田さんからポイントをお話いただければと思います」
横田「福島県のシンボル的なスポットといえば、磐梯山と猪苗代湖です。普通の人がひょいと歩いて撮れるものではないんですね。まず磐梯山を登った上で撮影しなければいけない。あとはこの天の川が出てる時間帯ですよね。山に登って強風に耐えながら、この構図を狙って撮影しなきゃいけないというところで、猪苗代湖の湖面と街と、広大な星空を入れた画角を狙うなら縦構図ですよね。猪苗代湖の雄大さと、この季節ならではの天の川をしっかり捉えた素晴らしい作品だなと思いました」
#フクナカビュー 作品
「湖上の華」
【撮影場所】舘浜湖水浴場(郡山市)
【撮影者】masamogul
小川「ありがとうございます。猪苗代湖が続くのですが、この一枚は磐梯山とは反対側にある湖南町というところからですね。masamogulさんの『湖上の華』というタイトルの作品です。『湖まつりで打ち上げられる花火。波が穏やかな猪苗代湖面を鮮やかに染め、夏本番、湖水浴シーズンの到来を告げてくれます。磐梯朝日国立公園に指定される舘浜からは猪苗代湖と磐梯山が見渡せ、眺望が素晴らしい福島県を代表するスポットです』というコメントをいただいています。猪苗代湖が代表的なスポットということを伝えてくれている作品かなと思います。これについてphoto_booooyさん一言お願いします」
photo_booooy「周囲の適度な余白を残しながら、しっかり花火全体を写しています。花火の大きさや色合い、咲き方の違いをちゃんとおさめられているというところが、一つ目のポイントだと思いました。それからやはり湖面に写る花火の反射ですね。パッと見たときに花火の形や色は違うけれど、すごく収まりのいい写真で、さすがだなというところで選ばせていただきました」
#フクナカ飯 作品
「成駒のソースカツ丼」
【撮影場所】成駒食堂(二本松市)
【撮影者】tae_11o5n
小川「ありがとうございます。これまでとちょっと傾向が変わります。今まではフォトコンテストで『食』をテーマにしてやってこなかったんですけど、今年から『食』をテーマに入れさせていただきました。#フクナカ飯 というカテゴリーの作品で、タイトルは『成駒のソースカツ丼』。二本松市の岳温泉に成駒食堂という食堂があります。キャベツが乗っていて、タレを染み込ませたカツをご飯の上に乗せるというのが福島県のソースカツ丼の特徴なんですね。会津地方が多いんですが、二本松市にもこういうカツ丼を出す食堂があるということで。tae_11o5nさんが撮影した『雪が降るほど厳しい寒さの1日でしたが、アツアツのソースかつ丼を家族で食べて温まりました。』という一日の思い出の写真ということです。これに関して横田さんの方からポイントをお願いします」
横田「ソースカツ丼って会津地方でメジャーなんですね。わたしは会津若松市で大学の四年間を過ごしてきたので、たくさん食べてきました。まさか二本松市でも有名だなんてと思いました。実はこの方の写真をInstagramで拝見すると、一枚目はカツ丼の上に蓋が乗っていて、二枚目は蓋がパカっと開いてカツが出てくるという組写真になっていました。やはりこの写真のいいところは、特に味噌汁の湯気の出来立ての温かい感じが写真から伝わってくるところですね。ジューシーなカツの色合いもよくて、目の前にカツがドンっと置かれたような迫力もあり、食べたくなります。食べ物の写真って、美味しさが伝わる写真が素敵だと思います。この作品以外にも美味しそうな作品がたくさんあって、選ぶのが難しかったですね。そのなかでも福島のB級グルメのひとつであるソースカツ丼を選出させていただきました」
#フクナカ飯 作品
「パスポートのいらない英国で」
【撮影場所】British Hills(天栄村)
【撮影者】チョコ(@_choko1)
小川「ありがとうございます。#フクナカ飯 でもう1作品です。『パスポートのいらない英国で』というタイトルです。天栄村というところにブリティッシュヒルズという施設がありまして、そこで撮影したチョコ(@_choko1)さんの作品です。『カメラを構え試行錯誤を繰り返す私...「まだか?もう食っていい?」と夫。毎度のやり取りですが、望んだ所どこへでも連れて行ってくれる夫にも感謝です』とコメントをいただきました。写真を撮っている人のあるあるなんじゃないかなと思うのですが、撮りたいからと言って食べるのを待っていてもらっていると。食を撮るときに相手を待たせて撮るというところで共感できるんじゃないでしょうか。こちらについてphoto_booooyさん、コメントをお願いします」
photo_booooy「まず見せ方がすごく上手だなと感じました。手前の食べ物と紅茶がメインの被写体だと思うのですが、奥にも程よく食べ物があるのがちゃんと分かるようなぼかし具合で撮影をされています。あとは背景のチョイスが素敵ですね。壁が明るい壁だったら、メインの食べ物や紅茶の主張が弱まってしまうのですが、黒い背景で撮影していますよね。より見せたいところをしっかり見せるという意図が伝わってきた作品です」
小川「ありがとうございます。先ほどのコメントで省略した部分なのですが、『優雅で静かな空気感を伝えたく、卓上の小物を幾つか排除』したということです。努力の結晶が伝わった写真ですね」
#フクナカビト 作品
「やまびこ」
【撮影場所】仙台平展望台(田村市)
【撮影者】yoshi(@cameraife)
小川「次は、#フクナカビト という、人に焦点を当てた部門です。その場所での暮らしや息遣いが伝わってくるような写真を選出しています。1作品目が『やまびこ』というタイトルで、yoshi(@cameraife)さんが撮影された作品です。田村市にある仙台平展望台という場所で、パラグライダーが飛び立つ場所ですね。よくここで撮られている方も多いです。『見晴らしの良い高台で、娘が「ヤッホー」と叫んでいるところを撮影しました。撮影地の仙台平周辺は秋になると紅葉が綺麗で、高台から眺める景色は絶景です。撮影日は秋晴れで空気が澄んでおり、遠くの山々も見ることができました』とコメントをいただきました。この写真について、横田さん、一言お願いいたします。」
横田「仙台平展望台はいわき市寄りの海沿いの方へ行く山のなかですよね。自然が豊かな場所です。この作品に関しては絶好のコンディションのなかで、娘さんを被写体にバッチリ撮影できた一枚だと思いました。雲の切れ間に太陽光が斜めから入っていて、画面の奥まで秋晴れの広大な平原が広がっています。この写真のポイントは、全体的に爽やかな一枚を引き締めるように、娘さんの帽子の赤色が非常にアクセントになっているところだと思いました。こちらの投稿作品以外にも、娘さんとの作品がInstagramにたくさん並んでいるので、ぜひ見ていただきたいなと思いました」
#フクナカビト 作品
「針道のあばれ山車」
【撮影場所】針道商店街目抜き通り(二本松市)
【撮影者】yabe51
小川「ありがとうございます。続いて、yabe51さんが撮影した『針道のあばれ山車』というタイトルの写真です。こちら先ほどもソースカツ丼で出てきた二本松市というところの400年以上続いている伝統的なお祭りです。『激しい山車と山車のもみ合いは迫力満点です。地元若連作の大型人気人形が山車に飾り付けられています』とコメントをいただいております。yabe51さんは写真が特徴的で、よくこういったシチュエーションで撮影されている方です。この写真についてphoto_booooyさんから一言いただければと思います」
photo_booooy「まさしくこれからお神輿でぶつかりに行く。そんなところを流し撮りで撮影された1枚です。流し撮りでありながらも奥にいる方の真剣な表情がしっかり写っているところがまずひとつのポイントだなと思いました。それから余白の使い方も上手だと思いました。大胆にも画面の左半分は余白を広々と取っていることによって、今まさにそちら側に動いていきそうな躍動感がより伝わると思うんですね。仮に人がいる部分で切られた縦構図の写真だと、もしかしたら窮屈に感じてしまうかもしれません。流し撮りの特徴が生かされている素晴らしい作品だと思いました」
小川「お二人から8作品についてコメントをいただきましたが、ご覧いただいた写真はこおりやま広域圏のブースでも展示させていただいております。8作品は入賞が確定しているのですが、そのなかから最優秀賞を決めたいと思っています。今回会場にお越しになっている皆さんの投票で決めていただきたいので、ぜひブースに足をお運びください」
小川「それでは続きまして、今回のトークショーのタイトルになっている『こおりやま広域圏の魅力を高めるカメラの可能性』についてお話させていただきます。なぜ『写真』ではなく『カメラ』なのかというと、『写真』というのは見た人がどう感じるかが強いのに対して、『カメラ』は写真を撮る人に影響を与えるものだと考えたからです。わたし自身、国際政策課でシティプロモーションの仕事をするなかで、カメラを始めて感じたことは、いままで気づかなかったまちの魅力に気づくきっかけになったということです。このトークショーを通して、普段写真を撮らないような方もカメラで撮影してみたいと思えるような魅力を伝えていければと思っています。そこで、お二人の作品をご覧いただきながら、これまでの経験なども含めてお話を伺っていければと思っています」
特別審査員 作品
「別の魅力を知る」
【撮影場所】猪苗代湖(郡山市)
【撮影者】横田裕市
横田「こちらは猪苗代湖の写真です。猪苗代湖の奥には磐梯山が写っています。空気が澄んでいる冬の美しい時期ですね。カメラの可能性として、その場所の別の魅力を知るということがあると思います。わたしがカメラを始めたのは、大学在学中の19歳くらいでした。カメラに興味を持つまでは、その場所のビジュアル的な魅力に触れてこなかったんですね。多分、海沿いに住んでいらっしゃる方は海水浴で遊ぶ方がたくさんいると思うのですが、わたしは湖水浴、猪苗代湖で泳いで育ってきた人間なので、単純に猪苗代湖は泳いで楽しむ場所というイメージしかなかったです。ですが、いざカメラを持ってその場所を見るようになると、すごく絵になる場所なんじゃないか?と魅力に気づくわけです。冬の澄んでいる時期の猪苗代湖の美しさというのも、わたしがカメラを持ったことで気づけた場面のひとつかなと思っています」
特別審査員 作品
「誇りを知る」
【撮影場所】滝桜(三春町)
【撮影者】横田裕市
横田「続いて、三春町の滝桜です。日本三大桜のひとつとして有名な場所です。大人になってから思うのですが、地元にこういう立派な桜の木があるのは本当に誇りだなと感じます。子どもの頃ってあまりこういうのに興味がないというか、地元の人ほど地元の名所に行かないのはあるあるですよね。わたしもこの滝桜をしっかり撮影したのって、実は30代に入ってからですね。こちらはほとんど人がいない真夜中に撮った写真です。月明かりに照らされている滝桜を撮った一枚です。カメラを持ったことで、地元の誇りに目を向ける。そして自分が写真におさめて、他の人にその魅力を伝えることができる。そういった可能性を持っているなと感じて撮った一枚です」
特別審査員 作品
「場所を守る」
【撮影場所】安積歴史博物館(郡山市)
【撮影者】横田裕市
横田「続いてこちらは安積歴史博物館という場所の写真です。レトロな教室の雰囲気が非常に美しい場所です。郡山市のシティプロモーションのお仕事で訪れたのが実は初めてでした。昔の学校をしっかり残すために、歴史博物館として運営しているわけですね。ここは撮影するロケーションとしても提供してくださっています。写真でその場所の魅力をどんどん伝えていくことは、その場所を守ることにもつながっているんですね」
特別審査員 作品
「伝統を見つめる」
【撮影場所】高柴デコ屋敷・橋本広司(郡山市)
【撮影者】横田裕市
横田「職人さんが作った張子人形の写真です。わたし自身こういった伝統工芸が好きなのですが、作り手のドキュメンタリー的な写真を撮るのも好きかもしれないと、写真を始めてから思いました。職人さんだけではなく、皆さんの家族や仲良くしているお店の人でもいいので、そういった人にフォーカスして、しっかりと写真に残していくということは、その土地の魅力も伝えることができるのかなと思います。当然ながら人もどんどん年を重ねていきますので、その時々の写真はその人の肖像として価値のあるものとして残っていくんじゃないかなと感じています」
小川「横田さんありがとうございました。横田さんが最後に紹介してくれたのは、郡山市西田町の高柴デコ屋敷というところで作られている伝統工芸品である張子人形の写真です。今回の写真展では、こおりやま広域圏のブースでプレゼントキャンペーンを行っておりまして、参加いただいた方にはここで作られた張子の豆だるまをプレゼントしておりますので、ぜひお越しください。こおりやま広域圏の伝統文化を皆さんと一緒に伝えていければと思っております」
特別審査員 作品
「地元の良さを再発見」
【撮影場所】西田梅ロード(郡山市)
【撮影者】photo_booooy
小川「続きましてphoto_booooyさんお願いします」
photo_booooy「よろしくお願いします。『地元の良さを再発見』ということで選んだ1枚目です。恥ずかしながらわたしは、カメラを始める前は仕事が休みの日は家で寝て過ごしてたんですね。外に出ることがほとんどなくて。だから地元の魅力を本当にあまり知らなかったんですよね。ただカメラを買ったことで、身近なものから写真を撮り始めるようになり、まず郡山市で撮影スポットを探すようになりました。そんな中、西田町の梅ロードという場所で妻と息子を撮影した1枚です。こんなに素敵な場所があるだなんて、カメラを始めていなかったらおそらく知ることがなかったんだろうなと思います。地元の郡山には素敵なところがたくさんあるんだな、という再発見のきっかけをくれたものがカメラだと思います」
特別審査員 作品
「地元から離れた土地を知る」
【撮影場所】東堂山満福寺(小野町)
【撮影者】photo_booooy
photo_booooy「次が『地元から離れた土地を知る』ということで選んだ1枚です。小野町の東堂山満福寺というお寺の写真です。郡山市を撮り始めてからその周辺にも興味が出てきて、行動範囲が広がるようになったんですね。そんなとき、渋くてかっこいいところがある、ということを調べて実際に行ってみました。わたしが行ったときはあまり人がいなくて、悠々と空気を感じながら、散歩しながら撮影しました。まだまだ知らないようなところなど、地元から離れたところでも魅力的な場所はたくさんあるんだと思います。拠点から離れた場所の魅力を知れるのもカメラのおかげだと思います」
特別審査員 作品
「家族で出かける楽しみが増える」
【撮影場所】青松浜(郡山市)
【撮影者】photo_booooy
photo_booooy「家族で出かける楽しみが増えるのも魅力です。2歳の息子と4か月の息子がいるのですが、ようやく一緒に外へ出かけられるようになりました。わたしは人混みが苦手なので、家族で出かけようと思ったときにこういった穴場スポットを知っていると楽しく遊べますよね。長男は水遊びが好きなので手前の水たまりで遊ばせられますし、こうしてしゃべっている瞬間を撮影することもできます。家族でいろいろなところに出かけて、撮影を楽しめるのもカメラのおかげだと思います」
特別審査員 作品
「自然の美しさに出会う」
【撮影場所】達沢不動滝(猪苗代町)
【撮影者】photo_booooy
photo_booooy「最後の1枚は『自然の美しさに出会う』ということです。福島県は自然が豊かな場所で、撮影スポットもたくさんあるのですが、カメラを買う前までは全く興味がなかったんですね。『滝を見に行ってなにになるんだろう?』と考えてしまう人間でした。ですが、美しい自然に出会ってシャッターを切るという機会をくれたカメラに今はとても感謝をしています。写真は好きだけど自分では撮っていないな、という方も、カメラを手に持つことがきっかけで、わたしと同じように自然を巡るということもあるかもしれません。興味がある方はぜひカメラを手にしてみてください」
小川「ありがとうございました。photo_booooyさんは昔は行動的じゃなかったんですね」
photo_booooy「そうですね、元々すごくゲームが好きで。でもゲーム機材を全部売り払ってカメラを買って、今は休みの日はほとんど外に出ているので、生活が180度変化するほどの威力がありましたね」
小川「カメラを始めるきっかけは何だったんですか?」
photo_booooy「ふとしたときに、晴れた休みの日にカーテンを閉めっぱなしで寝ている時間がもったいないと思ったことがあって。たまたま先輩に登山に誘っていただいて、登山といえば自然の醍醐味を味わえるアクティビティだと思うんですけど、山頂からの景色を見たときに『こんな美しい自然があるのに、休みの日になにをしていたんだろう』と感覚がガラッと変わりました。それからすぐにカメラを買いました」
小川「すごいきっかけですね。そのときは登山に行っただけでカメラで写真を撮ろうという感覚はなく、きれいな景色が目の前にあって、それを残したいという気持ちになったということですか?」
photo_booooy「山頂に行くまでは本当に辛かったんです。せっかく先輩に誘っていただいたし、という気持ちが大きかったですが、だんだんと景色が晴れてきて、周りになにも遮るものがなく、そんな景色をいままで見たことがなかったんです。とにかく心が動かされました」
小川「横田さんも最近登山をしながら写真を撮っているとお伺いしました」
横田「わたしは30代になってから本格的に登山を始めました。つい先日も山梨の山を登ってきました。風景写真を撮っていて、平地で撮る以外に山に登った人しか見られない景色も撮ってみたいなと思うようになりました。年を重ねると自分の健康も気になってくるので、登山は運動になるし、景色も撮れるし、一石二鳥じゃないかなと思って。山とカメラの相性はいいのですが、カメラは重いので厳しいときがあります。最近はスマートフォンでもある程度の写真が撮れますよね」
小川「横田さんはスマートフォンブランドのアンバサダーもやられていますよね」
横田「そうですね。いまは正直、全人口カメラ時代というか。スマートフォンにカメラが付いているので、みんながさっと撮れるようになったのはいいですよね。写真を撮ろうと思うとアンテナが立つというか、いつもよりも自分のなかで情報感度が上がる感じがあるんですよね。光がいいところを見ると『おっ』となるじゃないですか。ああいう感覚って写真をやっていないと味わえないと思いますよね」
小川「一眼レフやミラーレス一眼を買わなくても、最近はスマートフォンでもかなりいい写真が撮れますよね。今回のテーマでは、機材というより写真を撮る行為そのものが大事だと思っているので、スマートフォンでも改めて自分が暮らしている街などに新しい視点を向けるきっかけになればいいな、という思いでお話しさせていただきました。お二人にはいろいろお話を伺うことができました。、ありがとうございました。わたし自身も参考にさせていただきたいです」
小川「最後に告知となりますが、『郡山を知る・見る・食べる体験ツアー』というツアーを開催します。日程は10月28日(土)〜29日(日)です。最近福島では原子力発電所の処理水の海洋放出の話が取りざたされていますが、風評払拭をテーマとして、魅力を知って見て食べていただくためのツアーです。こちらのツアーの申し込みもブースで行っております。実は9月23日(土)〜24日(日)にも違うツアーがありまして、横田さんにもご参加いただく予定です。横田さんは写真家として活動されていて、郡山市としてはここ数年シティプロモーションの関係でお世話になっています。横田さん自身も仕事で関わるようになって、郡山市出身だけど知らなかった魅力を発見されています。長く住んでいるけれど実は知らないことってたくさんあると思いますので、横田さんにもこのツアーで新しい発見をしていただければと思います。皆さんも郡山市に来ていただいて魅力を知っていただければなと思います」
小川「自分が暮らす街や地域は皆さんそれぞれにあると思うんですね。住んでいる場所や、頻繁に訪れる街だったり、そういう地域があると思うのですが、改めてカメラを通して見てみると、これまで気づかなかった魅力にきっと気づくはずです。結論としては、どんどん写真を撮ってください、ということを伝えたいです。発信するかどうかは別にして、写真を撮ると、いままで気づかなかったことに気づける。それがその街をもっと好きになるきっかけになればと思っています。トークショーのはじめにご覧いただいたスライドショーでは、トークテーマの『こおりやま広域圏の魅力を高めるカメラの可能性』の頭に、吹き出しで『地域』と付けたのですが、こおりやま広域圏だけではなく、全国様々な地域に言えることだと思います。今日は福島県や、こおりやま広域圏以外からお越しになっている方もたくさんいると思います。皆さんが自分が住んでる街やよく行く場所の魅力に気づくきっかけになれば幸いです。最後にお二人から一言ずついただいてクロージングにしたいなと思います」
横田「今日はご清聴いただきありがとうございました。カメラの可能性ということで、やっぱり今の時代は写真を撮るということ自体のハードルがだいぶ下がっていると思っています。簡単に撮れるからこそ、その人の視点でしか撮れないものってたくさんあるんですよね。なので、カメラを通して世の中を見てみることを積極的にやっても面白いんじゃないかなと思います。会場にいる時点で皆さん写真に興味がある方だと思うので、ぜひ自分の感性を通してカメラを扱ってみてください。ありがとうございました」
photo_booooy「本日はご清聴いただきありがとうございました。一眼レフでもスマートフォンのカメラでもいいので、まずはカメラを持って自分の住んでいる地域や地元に興味を持っていただくと、遊びに行きがてら写真を撮るという行動が生まれると思うんですよね。その地域で美味しい名物を食べたり、そういったことで地域が自ずと少しずつ活性化していくんだと思います。わたし自身もその可能性を日々感じながら撮影しているので、まだ一歩踏み出せていない方がいらっしゃったら、カメラを持って出かけてみようかなと思っていただけたらと思います」
小川「ありがとうございました。これからお二人も一緒にブースを盛り上げてくださいます。このトークショーに出てきていない作品も特別展示しておりますので、ぜひご覧ください。今日はお越しいただきまして本当にありがとうございました」