富士フイルム GFX/Xシリーズ スペシャルトークショー 浅岡省一 光のポートレート Xの真価 #撮影手法 #レンズの選び方 #一挙公開

2017年2月23日(木)・24日(金) CP+2017の富士フイルムブースで、東京カメラ部10選の浅岡省一さんのトークイベント「光のポートレート Xの真価 #撮影手法 #レンズの選び方 #一挙公開」が行われました。

X-T2×4K動画

「普段わたしは富士フイルムのX-T1、X-T2を使ってポートレートを撮っています。今日はわたしの作品を見ながら、どうやって撮ったか、どうXシリーズを使いこなすかをお話していきたいと思います」

「X-T2では4K動画が撮れるようになりましたので、まずはムービーを見ていただきたいと思います。X-T2のムービーはフィルムシミュレーションの色をそのまま使えるのが特徴です。感性に刺さる色がそのまま使えます。今回は日中の光、夕景、夜の光という3つのシーンでムービーを撮ったのですが、フォーカスがゆっくり合っていく様子や、モデルが見せるさりげない仕草を繋げました。意外と手ブレが目立つかと思っていましたが、スタビライザーは使わずほぼ手持ちで撮りました。波と一緒に撮っているシーンでは、お気に入りの革靴を履いて撮っていたのですが、油断していたら膝まで濡れてしまいました(笑)」

浅岡さんの代表作

「続いて、僕の作品を見ていただきます。こちらはストロボを後ろに置いて撮った作品。台風が過ぎ去った直後の海で夕焼けを狙ったのですが、風が強くて、海に着いたら雲がなかったんです。雲がないと夕焼けは狙えません。本当は広角レンズで海と空を入れたかったんですが、XF56mmF1.2 Rであえて空をあまり入れずに、波の迫力を活かして撮りました」

「XF35mmF1.4 Rを使用し、柔らかい雰囲気で撮っています。実はすぐ側にお風呂があるのですが、熱いお湯を湯船に張るんですね。そうすると湯気が部屋の中にいっぱいになって、ソフトフォーカスのような感じになります」

「これはXF10-24mmF4 R OISで撮影。僕が一番好んで使う広角ズームレンズです。迫力のある夕焼けのカットが撮りたかったのですが、撮りにいけない時にいい夕焼けが出て、モデルさんとスケジュールを合わせて撮りに行くと全然焼けない、というのを10回くらい繰り返した末に、ようやく撮れた一枚です。現場では急に雲が散ったので、慌ててストロボのライティングをして撮りました。こういう広角のカットは、モデルと風景どちらを主役にするのかというのを自分の中で決めておくと、中途半端にならずに仕上がると思います」

X-T2の利点1/軽量・コンパクト

「ここからは、X-T2の良い点をご紹介したいと思います。まずは軽量でコンパクトなところ。そうすると、重いカメラを使うよりも撮影時の荷物を減らすことができます。荷物が少なくなると、楽になるだけじゃなく、疲れにくくなります。そうすると現場でユニークなアイディアを思いつきやすくなったり、より多くの写真を撮れるようになるメリットがあります。これは日付が変わる頃に行った撮影なのですが、3~4時間わたしが車を運転しただけでなく、暗闇の中1時間くらい歩いて熊に怯えながら撮りました。そういった撮影では荷物が重いとやはり疲れてくるし、場合によってはモデルの衣装も運んだりするので、カメラやレンズが軽量というのはアドバンテージだと思います」

X-T2の利点2/高感度画質

「それから、やはり画質がいいことが挙げられます。ISOを上げてもノイズが少なく、解像感も高いので細かいところまで描写できます。こちらはISO3200です。高感度ですが、ほぼノイズレスといってもいいくらいきれいな画質です。わたしはISO3200くらいだったら遠慮なく使います。左手にストロボを持ち、右手にカメラを持っています。ほぼ直当てでライブ感を出したかったカットで、モデルが左を向いているので左から当てています。右に振り向いているなら右から当てないとモデルさんの顔は影になってしまうので注意しましょう」

「こちらはISO5000です。窓越しの夜景なのですが外の気温が低くて窓が結露しており、霧のような雰囲気がよかったので、手持ちで撮りました」

「こちらはISO6400です。ここまで写れば文句なしですね。この日は雪が降ったのですが、たまたまモデルが厚手を着ていたので死ぬことなく無事生還できました(笑)」

X-T2の利点3/AF精度

「X-T2で更に強化された機能のひとつにAFが挙げられます。性能が向上して、AFが効きやすくなりました。また、液晶の横にレバーが追加され、ダイレクトにフォーカスポイントを移動できるようになりました。フォーカスポイントを自在に操ることがX-T2を使いこなす一つのポイント。シングル、ゾーン、ワイドと、3つのAFモードを切り替えることができます。わたしはその機能をボディ前面のファンクションボタンに割り当てており、素早く切り替えられるようにしています」

「こちらはXF56mmF1.2 Rで朝の逆光を活かして撮ったカットです。X-T1だと逆光時のAFはたまに迷うことがあったけれど、X-T2になるとこのくらいの逆光では全く問題がありません。非常に性能が良くなっています」

X-T2の利点4/色

「Xシリーズの特徴の一つでもある色。わたしがXシリーズを使って作品撮りしている理由はそのいい色が出る点が大きいんですね。わたしが撮る夕焼けや夜景の色にちょうどマッチするんです。こちらは屋根の上に乗って夕焼けの雲を撮ったカットです」

「こちらはホワイトバランスシフトを使って緑方向にしたものです。撮影中に液晶に結果が出ますから、実際に撮りたい風景にカメラを向けて、ホワイトバランスシフトを調整しながら撮ることができます。フィルムシミュレーション機能とホワイトバランスシフト機能の2つをカスタムボタンに割り当てると、Xシリーズの色を自由自在に操ることができます。わたしの場合は十字キーに割り当てています」

「この写真はHDR処理しています。ちょうど夕焼けの色が出てきて準備万端だったのですが、社外品のコマンダーが不調でストロボが光らなかったんです。こんないい景色なのに…と思ったのですが、X-T2ってAEブラケットが±2段までできるようになったんですね。それを思い出してAEブラケットで撮り、HDRで処理すると、狙いが的中して格好よく仕上げることができました」
※3月30日公開の最新ファームウェア(Ver.2.0)で、最大±3段、9枚までのAEブラケット撮影が可能になりました。

「富士フイルムの色は鮮やかで派手というイメージがあると思うんですが、こういう渋い色もすごく似合うんです。雲を特徴的に仕上げているのですが、ハイライトの設定を+1~2と高めにすると雲の白が光り輝いているように見えるんです。ただ、そうすると撮影中白飛びしやすくなるので気をつけてください」

「わたしの大好きな夜景と丸ボケです。点光源を見つけたらとりあえず焦点距離が長めのレンズを使い開放で撮り、仕上がりを見て、いいな、と思ったらそこから追い込んでいくようにしています」

X-T2の利点5/XFレンズ

「わたしがよく使うレンズの一覧です。赤色はよく使うレンズで、XF35mmF1.4 Rが一番好きですが、丸ボケを楽しむときにXF56mmF1.2 Rも使います。ポートレートを撮る人にオススメなのは単焦点レンズです。設定できるF値の幅が広いということは、表現が広がるということです。大きくぼかすか、奥までフォーカスを合わせて見せていくか、選択ができるんです。また、小さいF値が設定できるということは、暗いところでもよく撮れるということ。わたしは夜景をよく撮るので、明るいレンズは必需品。皆さんもこういった点を踏まえてレンズを選んでみるといいと思います」

「こちらはXF35mmF1.4 R。片手にシャワー、片手にカメラを持ち、シャワーを天井に向けて飛ばして、モデルさんの前に水が落ちるようにし、水を輝かせて撮ったものです。以前アシスタントの人と三人で撮ったことがあって、アシスタントがシャワーを後ろに飛ばして、僕がシャワーの真ん中に入って撮ったのですが、僕がびしょ濡れになってしまいました。なのでこの時は自分がシャワーを持って撮ったんですけど、そしたら今度はモデルさんがびしょ濡れになってしまいました」

「XF56mmF1.2 Rは被写界深度が浅いため、立体感を感じるように仕上げました。こういう写真が撮りたいときはまず奥行き感のある場所を探します。そういう場所でどこにモデルを置けば奥行きが表現できるかと考えて撮るといいと思います」

「マクロレンズのXF60mmF2.4 R Macro。マクロというと花や虫、テーブルフォトのイメージがありますが、ポートレートにも使えます。特にこういった体のどこかのパーツに寄って撮る。いわゆるフェチカットにも使えます」

「XF90mmF2 R LM WRは圧縮効果が強くなるので、遠くの景色を入れると非現実的な感じになります。F2と明るいので、日が落ちた後の雰囲気をうまく閉じ込めることができるレンズ。出番は少ないですが、90mmならではの描写があるので取り入れたいレンズの一つです」

「XF50-140mmF2.8 R LM OIS WRも望遠ズームなので圧縮効果が楽しめます。風の強い日に撮ったのですが、髪の荒さをうまく捉えつつ、F2.8と明るいのできらめきをぼかして撮ることができます。かつフォーカスがきているところがシャープ。手ぶれ補正もかなり強力で、不安定な体制になってもピシッと決めてくれるレンズでした」

「液晶が可動するという点は大好きですね。これによってローアングル、ハイアングルが撮りやすいです。液晶が動かないとこうなってしまいます。洋服が汚れてしまうと凹みます」

「最後はXF16mmF1.4 R WR。最短撮影距離が15cmなので、近づいて撮ることで背景を大きくぼかせます。このカットはローアングルで撮っているため地面が大きくボケていて、それによって立体感を見せています。後ろに光を入れてうまく構図を組んでいます」

「最後に、写真が上達するコツについてですが、楽しんでたくさん撮ることが一番だと思います。普通のカメラはボタン操作によりモードを変えますが、X-T2はISOやシャッタースピードのダイヤルがあり、シャッタースピードのダイヤルを回した瞬間にTVモードになるんです。ISOを回した時にはISO優先モードに。モードを気にしないで直感的に操作できるカメラでとても撮っていて楽しいのです。さらに軽量コンパクトなので気軽にカメラを持っていける。そして小型・軽量のため、さまざまなレンズも持っていけます。写真を楽しめるカメラは何かなと考えた時に、Xシリーズのことを思い出していただきたいです」

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